幼なじみは新選組でした?!


沖田と私は、日々一緒に過ごしているはずなのに、どこか距離があった。その距離は、言葉にしづらいけれど、確かに存在している。私がどんなに話しかけても、沖田はどこか遠くを見つめているような気がして、私との接触を避けるような行動を取ることが増えていた。

その日も、沖田は訓練後に屯所の庭で休んでいるようだった。私は彼が何かを悩んでいるのではないかと感じ、少し心配になった。無理にでも話しかけて、彼に気を使わせてしまうかもしれない。それでも、私は彼がどうしても気になって、思わず声をかけてしまった。

「沖田さん、お疲れ様です。」
私は小さな声でそう言いながら、少し距離を取って立ち止まった。沖田は顔を上げることなく、じっと地面を見つめている。しばらく沈黙が続いた後、ようやく彼がふわりとした声で答えた。

「あ、うん、お疲れ様…。」
その言葉の後、沖田は少しだけ体を動かし、私の方をちらりと見た。だけど、その目はすぐに逸らされ、再び空を見上げるようになった。彼の態度に、私は胸が締め付けられる思いを感じた。彼が私に対して何かを警戒しているのは、明らかだった。

「…どうかしましたか?」
思わず聞いてしまった。沖田はその質問に対して、ほんの少し驚いたような表情を見せたが、すぐに軽く首を振って答えた。
「ううん、別に…。」
その言葉の裏に、何か隠し事をしているような気がしたが、私は無理にそれを追及しようとは思わなかった。沖田の様子から、何かを避けているのが分かる。彼が私と向き合いたくない理由があるのだろうと、私はなんとなく理解していた。

「そうですか…。」
私は少しだけ寂しさを感じながらも、言葉を飲み込んだ。沖田はその後、私の方に背を向けて立ち上がり、また訓練を続け始めた。明らかに、彼は私との接触を避けるようにしていた。

その後も、沖田が私に対して避ける態度を取ることは続いた。食事の時や、仕事をしているときも、彼はなるべく私と目を合わせないようにしているようだった。私が少しでも近づこうとすると、彼は素早く距離を取る。何度か話しかけても、沖田はふわりとした反応を返すだけで、心からの言葉が返ってこないことがほとんどだった。

その日の夜、私は一人で寂しく思いながら食事の準備をしていた。沖田がどうして避けるのか、何が彼をそうさせているのかが、どうしても分からなかった。昔、私たちは一緒に遊んで、笑って、支え合っていた。だが今、沖田はまるで私の存在を忘れてしまったかのように感じられる。そう思うと、胸が痛んで仕方がなかった。

ふと気づくと、厨房の入り口に沖田が立っていた。彼は訓練を終えた後に何気なく立ち寄ったようで、私が忙しく動いているのをじっと見ている。私は少し驚いて、振り向いた。

「沖田さん?」
その声に、沖田はまた少し照れくさそうに笑った。だが、その笑顔もどこかぎこちない。

「あ、ごめん、なんか、見てた。」
彼はそう言うと、少し照れた様子で足を一歩踏み出した。けれど、その足取りはいつもよりも慎重で、私に近づくことをためらっているように見えた。

「いえ、気にしないでください。」
私は少しだけ笑顔を作って答えたけれど、心の中では彼の行動にまた疑問を抱いていた。沖田は、私と距離を置こうとしているのだろうか? それとも、ただ単に私に気を使っているだけなのだろうか?

沖田はしばらく黙って私を見つめた後、ふわっとした笑顔を浮かべて言った。
「じゃ、また。」
そして、すぐにその場を立ち去っていった。

その後も沖田の態度は変わらなかった。私は彼に対して、何かを思い出して欲しいと願うばかりだった。だが、沖田はその願いを察することなく、淡々と毎日を過ごしているように見えた。彼の心に、私との距離を埋めるきっかけが見つからない限り、このままだろう。

私は、沖田との関係を取り戻すために、どんな方法を取ればいいのだろうかと、心の中で考え続けていた。