愛は花あられ


「わたし、もう帰るから。」
「なぁ、ちょっとも時間ない?」
「ない。」
「頼むよ。俺、妃都とやり直したいんだ。」
「誠太、わたしが既婚者なの分かってて言ってるの?」
「分かってるけど、でも上手くいってるわけじゃないんだろ?それなら、」

と誠太がわたしに迫って来ようとした時、「奥様。」と仲裁が入った。

ふと見ると、そこには香川さんが立っていた。

「奥様、お迎えに参りました。」
「あ、香川さん。お待たせしてしまって申し訳ありません。」
「いえ、それは構いませんが。」

香川さんはそう言うと、一歩前に出て誠太の方を向いた。

「奥様を困らせるような事はお控えください。」

香川さんは誠太にそう言うと、「それでは、奥様。参りましょうか。」と言い、わたしをエスコートしてくれた。

誠太は悔しそうな表情をしていたが、わたしは誠太に何も声を掛けず、香川さんの車に乗り込んだ。

「香川さん、ありがとうございます。」
「いえ。師道社長から、もし奥様を困らせるような御方が現れるようでしたら、助けるようにと言われておりましたので。」
「え、師道社長が?」
「はい、奥様を心配されておりました。師道社長がまだ学生の頃から運転手を務めておりますが、あんなに誰か一人を大切に想う師道社長は初めて見ました。」

香川さんはそう言うと、「奥様は、愛されておりますね。」と言い、車を発進させた。

"誰か一人を大切に想う師道社長は初めて見ました"

学生の頃から師道社長を見てきている香川さんの言葉は、とても説得力があり、わたしの中にストンと入ってきた。

香川さんから見たわたしは、、、愛されているんだ。