あなたの姫は私だけ

私は即座にその場から動き出した。


道なんてわかるわけもないから、ただひたすらまっすぐ歩くだけ。

多分家からもっと遠のいてる気がするけど、今は帰りたくないからいいや。


なんて、考えながら歩いていると...


「君、5万でどう?」


と、おじさんが話しかけてきた。


5万でどう?ってどういうこと?

何を言ってるの?


「えっと...」

「いいでしょ?ほら、行こう」


と言って、私の腕を掴みひっぱってくるおじさん。

気持ち悪すぎるし怖すぎる...


「離してください...」

「はいはい、行くぞ」


行かないよ!

痛いし怖いし気持ち悪いし...

誰か助けて...


助けを求めたくても、なぜかこの辺は人通りが少ない。

人が通っても、見て見ぬふりしてそそくさといなくなるし...

誰も助けてくれる気配はなかった。