あなたの姫は私だけ

「えっと...」


今まで話しかけてきた人なんていなかったし、私なんか心配して声かけてくれる人なんていないと思ってた。


「泣いてるけど、何かあったの?」

「え?あ...いえ、大丈夫です」


顔は暗くてよく見えないけど、とにかく声や話し方がすごく優しい感じ。

王子様みたいな感じだよね。


「そう?大丈夫そうには見えないけど...」

「ほんとに大丈夫ですから」


大丈夫じゃないのに、強がって大丈夫と言ってしまうのは私の悪い癖。

誰かに頼ったりすることが苦手で、いつも自分でなんとかしてしまう。

そもそも、高校入ってからは学校の先生やバイト先の人たち以外とまともに話すこともなかったし...

そもそも、どう話したらいいのかも正直わからない。


「俺、ここで働いてるんだけど寄っていかない?話しくらい聞くよ?」


と言って指さしたのは、ホストクラブ。

看板には“CLUB KING”と書かれていた。


ホストクラブなんて行ったことあるわけないし、初めて見たけどここがホストクラブだってことはすぐにわかる。

キラキラ輝いていて、ホストっぽい人たちが何人か写ってる写真付き看板もあるし。

ってことは、この人もホストだったんだ。