あなたの姫は私だけ

あれからどれくらい経っただろう?

しゃがみこんでしばらく経つけど、未だに涙は止まらない。

行き交う人たちは、「どうしたの?」と言いたげな顔で見てくるけどどうでもいい。

気にしてられないほど無気力だった。


動くのがほんとに嫌。

帰り道もわからないし、人見知りの私は道を聞くことだってできるはずもない。


このまま死んじゃうんだろうか?

それならそれでいい。

お母さんだって喜ぶよね。


なんかアホくさくなってきた。

どうにでもなれ!!!


なんて、投げやりになっていたら...

どこからか男の人の声が聞こえた。


「泣いてるの?大丈夫?」


と、優しい声。

私に話しかけてるわけじゃないのに、なぜか安心する声。

あんな優しい人が、自分の周りにいたらよかったな。

なんて考えていると、また優しい声が聞こえてくる。


「君?大丈夫?」


次は、男の人もしゃがみこみ私の顔を覗き込んできた。


「わ!え...?」

「あ、びっくりさせてごめんね」


話しかけてたの、私だったの...?