帰り道、私は父さんに言った。



「学校、行かなきゃダメ⋯⋯⋯?」



学校に行って何になるのかすらも、考えたく無くなった。



しばらく、車内に沈黙が走った。


少しして、父さんは口を開いた。



「行かないより、行く方がもちろんいい」



そんな当たり前のことを言った。

でも、父さんの目は、強く、真剣な眼差しだった。


運転手さんの顔も、少し歪んだ気がした。



「けれどね」



父さんは、続けた。



「この状況だ。行くか行かないかは自分で決めなさい」



そう言って、微笑んだ。


私の中に、何かが宿った気がした。

ポッと明るくなって、安心するような。


そんな何かが私を包み込んだ。


父さんの笑顔に感化されたのだろうか。



首を縦に振ったあと、ふと窓を見た。


私はその景色に呆然とした。