☆
「昨日はお疲れ、羽月」
「久しぶりにヘマして、警報アラーム鳴らしちゃった」
放課後、あたしはひとりツタが張ったレンガの外壁が特徴的な建物に向かった。
まるで童話に出てくるような、かわいい建物。
ドアを開けると、左手にカウンター、正面にふたつのテーブル席がある。
コーヒーの香りが漂うこの空間は、ぱっと見はただの喫茶店だ。
「春義君、アイスココア…やっぱりホットココア入れてー」
「はいはい。それにしても、羽月が警報アラーム?珍しいね」
「宝石の下にセンサーがあってね。宝石を台座からとって、そのセンサーに少しでも光があたると鳴るって仕組みだったみたい。まさか、ただの強盗犯がそこまで厳重にしてるとは思わなくて」
「何事も思い込みは厳禁だよ。【怪盗フローラ】」
……そう。
今朝からテレビや学校で騒がれている【怪盗フローラ】。
性別不明、年齢不詳。
非正規ルートで入手された貴重品を盗み、正当な持ち主のもとに返す怪盗。
その正体は、あたしだ。
「昨日はお疲れ、羽月」
「久しぶりにヘマして、警報アラーム鳴らしちゃった」
放課後、あたしはひとりツタが張ったレンガの外壁が特徴的な建物に向かった。
まるで童話に出てくるような、かわいい建物。
ドアを開けると、左手にカウンター、正面にふたつのテーブル席がある。
コーヒーの香りが漂うこの空間は、ぱっと見はただの喫茶店だ。
「春義君、アイスココア…やっぱりホットココア入れてー」
「はいはい。それにしても、羽月が警報アラーム?珍しいね」
「宝石の下にセンサーがあってね。宝石を台座からとって、そのセンサーに少しでも光があたると鳴るって仕組みだったみたい。まさか、ただの強盗犯がそこまで厳重にしてるとは思わなくて」
「何事も思い込みは厳禁だよ。【怪盗フローラ】」
……そう。
今朝からテレビや学校で騒がれている【怪盗フローラ】。
性別不明、年齢不詳。
非正規ルートで入手された貴重品を盗み、正当な持ち主のもとに返す怪盗。
その正体は、あたしだ。


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