「……はぁ」
果たして、和泉はあたしが同じ状況になったときに助けにきてくれるのだろうか。
……いや、ないな。
小さくてかわいい花音ちゃんだから助けに行くんだ。
「やっぱ、好きなのかなぁ」
和泉は、花音ちゃんのことを。
黒板消しを持つ、花音ちゃんにとっての正義のヒーロー。
花音ちゃんに「ありがと」って笑顔を向けられて、嬉しそうにはにかむ姿を見て、もういちどため息をつく。
「羽月、黒瀬君が手伝ってくれたから黒板消しすぐ終わった!」
「よかったね。……肩、チョークの粉ついてるよ」
席に戻ってきた花音ちゃんの肩に手を伸ばし、粉をはたくと花音ちゃんは嬉しそうにはにかんだ。
「ありがとっ」
「……花音ちゃんはかわいいなぁ」
この無邪気で素直な笑顔に、今まで何人の男子が見とれたことか。片手じゃ数えきれない。
「えっ、何いきない!!」
「なんでもないよ。花音ちゃんも早く次の授業の準備しないと!」


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