君の心は奪えない



ばくばくする心臓、上がっていく体温。
それを落ち着かせるために、炭酸水をひとくち口に含む。


ぱちぱち弾ける炭酸が、喉をびりびりと刺激する。



「その子、小学生の時から同じクラスなんですよ」
「へ、へえ……。仲がいいんですね」


やばい。
和泉が、“桃華さん”に似てると言った女の子が、あたしの可能性が浮上してる。

小学生から同じクラスで、お節介って。


花音ちゃんも小学生から同じクラスっていうのは同じだけど、花音ちゃんはお節介な性格ではない。



和泉が、変装しているあたしと、普段のあたしとの間に同じ空気を感じてるんだったら……。


正体がバレる可能性が跳ね上がる……‼︎



「あ、食事の準備ができたようですよ。立食形式って、色々な種類のものをいただけるから良いですよね。それじゃあ、私は取りに行きますね」



よし‼︎これで、しれっと和泉のもとから離れて、それでこの場所に戻らなければいい‼︎