君の心は奪えない




ぐっ……。
現地で監視カメラや防犯システムをダメにする技術はあたしも持っている。

でも、今回の潜入先は、和泉の家の宝石を奪った人が所有している場所じゃない。


できれば、ダメにすることなく……春義君に遠隔で操作してもらって、潜入している時間だけ別の映像を流すとか、そんな風にしてもらいたい。


あたしには、春義君ほどのハッキング技術はないし……。



「……和泉と関わらない、を徹底していきます」
「そうしてください。でも‼︎いちばんの目的は、宝石商……馬場優一郎が持つ、何かしらのデータをひとつでも回収すること」


春義君はそう言って、あたしに向かって、グーのカタチにした右手を突き出した。

あたしも、左手を握り込んで春義君の右手に当てる。



「怪盗フローラ、行ってきます‼︎」