「うん、完璧!」
あたしがそう声を上げた時だった。
「羽月、ちょっときて」
ドアをノックする音と同時に、春義君の声が聞こえてきた。
忘れ物がないことを確認して、衣装部屋(変装部屋)から出ると、何やら困ったような顔をしている春義君の姿があった。
「これを見て欲しいんだけど」
手に持っているノートパソコンを、衣装部屋にある机の上に置いた。
パソコンの画面には、パーティー会場と思われる場所が映し出されている。
「うへぇ、かなり広いね」
「いや、まあ確かにそうだけど。それよりも、ほら。今テーブルクロスを整えてる……右下に映ってる男の子」
春義君が指差した、ある人物。
指差された瞬間は背を向けていたけれど、ほんの数秒後、その人はふいに監視カメラの方を向いた。
「いっ……和泉っっっ⁉︎」


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