「すごいよな、本当」
「ねー‼︎会ってみたい、正義のヒーロー⁉︎」
「えっ、会うのはちょっと。自分のこと、全部見透かされそうだから勘弁」
花音ちゃんと和泉は、今朝の目玉ニュースでしていた怪盗の話にお熱な様子。
ふたりの話を聞いていたら、あたしはまたウトウトしてきて机の天板と上半身がくっついた。
「……こんなになるほど、夜に何してるんだよ。ほら、風邪引くから」
和泉が、自分の椅子にかけていたカーディガンをあたしの肩にかけてくれたのが、気配と音でわかった。
「ん……ありがと、和泉……」
たまに乱暴だけど。
あたしに対してはそうでもないのに、花音ちゃんにはいつも優しいけど。
でも、それでも和泉のことが、あたしは……。


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