君の心は奪えない






『ふたりが帰ってすぐ、和泉君の家の宝石が盗まれた日からの、有名な宝石商やコレクターの動きを追ったんだ。そうしたら、ちょっと怪しいのがひとり見つかった』
「えっ、本当?」
『うん。黒瀬貿易と関わりがあってね』
「黒瀬貿易?」


突然貿易の名前が出てきて、首をかしげながら自分の部屋のパソコンで検索する。
すると、貿易会社の説明と一緒に、代表の顔写真が出てきた。

……んー?
この顔、見覚えがあるような……。


『和泉君のお父さんの会社が、黒瀬貿易』
「えっ……ええ!?」


そうだ……この、代表の人の顔……!
和泉にそっくりだ!

パソコンの画面をスクロールさせていくと、黒瀬貿易が国内でかなり大きな貿易会社だということが分かった。


「こんなに力がある会社で、しかも貿易のお仕事してるなら宝石に関わる人も出入りするかも……」

『うん。それで、その黒瀬貿易が創立50年のパーティーをするらしい。』