君の心は奪えない




「ごめん、電話だ……!!」


スカートのポケットからスマホを取り出し、画面に表示されている名前を確認する。
……春義君からだ。

さっそく、レッドリリィについて何かわかったのかもしれない。
でも、ここであたしが春義君からその情報を聞くのは絶対だめだ!

あたしが春義君の仕事の関係者な上、怪盗してるってばれちゃう!


とりあえず電話には出よう。それで、またあとで!って言ってすぐ切ろう!


「もしもし、春義君、またあとで!」


……よし、ミッションコンプリート!
3秒で電話を切ることに成功したことに達成感を覚えていると。


「連絡先、交換してんのかよ」


和泉が不機嫌そうに顔をしかめ、そしてあたしに背を向けて歩きはじめた。


「あっ、待って!」
「さっさと歩けよ。早くついてこないと家まで送ってやらねぇ」
「えっ、送ってくれるの!?」
「……負けてられないから」


負けてられないから?
……和泉は何と戦っているの?