「ねえ、今朝のニュース見た⁉︎」
「んー……」
「また、怪盗が現れたんだって‼︎」
「へー……」
「そして、盗みに入った家の人がした『悪事』を暴く‼︎かっこよすぎだよ‼︎」


机にべったりと上半身をはりつけて、脱力するあたしに構わず元気に話し続けるのは、クラスメイトの井田花音ちゃん。

小学校1年生の時から、中学2年生になる今までずっと同じクラスの大親友。



「かっこいいなぁ、会ってみたいなぁ、怪盗フローラ‼︎」
「そっかぁ……」
「……ねえ羽月⁉︎寝てる⁉︎私の話聞いてくれてる⁉︎」



正直言うと、眠たすぎて花音ちゃんの話を真剣に聞く集中力は残されていない。


「こらっ」



ぼーっとしていた頭に、軽い衝撃を受けてノロノロと机と仲良しこよししていた上半身を起こす。

花音ちゃんがいるのは私の目の前。
そして、私の机の右隣は……。