だめと言われても……。
そうなるとあたしは家に帰るしかないのですが……。
この、冷め始めたココアとタルトを置いて家に帰れと!?
「いやだよ!あたしまだココア飲んでないし、タルト食べてないもん!春義君ちで食べてから帰る!」
「だからだめだって!聞いていいから!お前も、俺の話!」
……へ?
いいの?あたしもここで聞いて。
ちらりと春義君を見ると、春義君はなぜだかほほえましいものを見ているかのような表情をしていた。
「依頼者がいいと言ってくれるなら、かまわないよ。ここにいな、羽月」
「う、うん……」
春義君の言葉にうなずくと、和泉の手が離れた。
それを少し寂しく、そして疑問に思いながら再び椅子に座る。
なんでそんなに奥に行ってほしくなかったんだろう。
……あ、わかった。
奥に行ってほしくなかったんじゃなくて、一緒に話を聞いてほしかったのか!


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