君の心は奪えない



――カランカラン…


建物の扉についているベルが鳴った。
扉の向こうから現れたのは……。


「羽月……?」

「和泉!?」

今日のお昼に、あたしにかけてくれていた黒いカーディガンを羽織った和泉が、そこにいた。


「あはは……恥ずかしい姿をお見せしてしまいすみません。羽月の友達かな?」
「……クラスメイトです」
「じゃあ、羽月の隣にどうぞ」


あわてていちごを飲み込んだ春義君は、焦った様子で和泉を席に案内し、メニュー表を渡した。
和泉はそんな春義君を少し怖い目つきで見つめている。



「羽月、この人知り合い?」
「うっ、うん!!あたしのお兄ちゃんみたいな人!!」
「ふーん……そんなに仲いいんだ」
「そうだね……?」


なんか、声すごく低い!顔こわい!
なぜだかわからないけど、とっても怒ってる!