「ねっ、ずっと気になってたんだけど、依頼してくる人はどうやってここを知るの?」
「口コミ。もちろんうちが怪盗業してるってことは口外しないように、過去の依頼者にきつく伝えてるけど。『失くしもの、見つけてくれますよ』って感じで話が広がってるっぽい」
「へーぇ」
春義君はそう言いながら、あたしの目の前にケーキとココアのカップを置いた。
いちごのタルトは、乗っているいちごがつやつやで美味しそう。
ふといいことを思いついて、あたしはタルトの上のいちごにフォークをさす。
そして、カウンターの向こうに手を伸ばし。
「春義君も、今回は調査お疲れ様でした。あーん」
春義君は目をぱちくりとさせてから、少し恥ずかしそうにはにかんだ。
「妹分からねぎらってもらえるとは」
そういって、腰をかがめていちごにパクリとかじりついた、その時だった。


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