〇〇×高等学校・一年3組
国語の授業。
教科書をぼーっとして見ている杏奈。
杏奈M「竜ちゃん。やさしいから泣き止ませるために言ったのかも……それで、高校であんな天使みたいな綾乃ちゃんと会って、あっちを本当に好きになってたら……………私はとんだ邪魔者」
チャイムがなり授業が終わる。
机に突っ伏して窓側に顔を向ける杏奈。
隣の席の夏生が不思議そうに見ている。
杏奈M「イヤでも、一緒に帰っているし、今日の朝だって寝坊して遅刻寸前まで待っててくれたし、大丈夫………」
杏奈のスマホが鳴って手にとる。
文面「悪い。部活が始まったから今日から一緒に帰れない」
机に突っ伏す杏奈。
夏生が隣に立つ。
夏生「悪かったよ」
杏奈が顔を上げて夏生を見る。
夏生「あーその……なんだ」
頭をかきながら上を見る夏生。
夏生「杏奈さえよければ…あー他の奴も言ってるからだけど、部活のマネージャーやらねぇか?」
杏奈「?」
夏生「オレ、バスケやってるけど、なんか、部員が多くてマネージャーやってくれるやつ探してくれって先輩の女子マネに頼まれてて、って言ってもイヤなら……」
杏奈「やる!」
夏生が驚いて杏奈を見る。
杏奈M「何もしないのはきっとダメだ。少しでもできることを増やして、竜ちゃんが私のことを恥ずかしくなく恋人ですって言えるようにしたい」
杏奈が夏生の手を取って、
杏奈「私、頑張る」
杏奈M「部活っていう理由があれば竜ちゃんと同じ電車に乗れる」
夏生の頬が少し赤くなる。
夏生「そうか、じゃあ、頼む」
T・「利害の一致」
〇同・体育館(夕)
バスケ部員が準備運動をしている。
女子マネージャーの中林穂波(17)と杏奈が向かい合っている。
穂波「中林穂波よ。よろしくね」
杏杏「花園杏奈です。よろしくお願いします」
とお辞儀をする。
穂波「早速だけど、仕事をしてもらうわよ」
杏奈「はい」
穂波が歩きながら説明する。
穂波「まず、準備運動をしている間にビブスやカラーコーンの準備、終わったら、ドリンクの用意、その間にも、練習の手伝いでポイントに立ったり、タイマーセットに、今はそれほどでもないけど、暑くなると汗で床が濡れるからモップで拭いて、試合ではスコアを………」
杏奈の目が回っている。
穂波「ちょっと、大丈夫? 何も今日一日で全部覚える必要ないから」
杏奈「はい。一生懸命、頑張ります!」
と敬礼する。
穂波がクスッと笑う。
× × ×
部員たちが色違いのビブスをつけて試合をしている。
杏奈と穂波がドリンクを持って来る。
杏奈「一年生も一緒ですか?」
穂波「交流のためにね」
夏生が先輩選手の間をすり抜けてゴールを決める。
杏奈「へぇ、カッコいいじゃん」
× × ×
笛が鳴り、「お疲れさまでした」と選手たちの声が体育館に響く。
〇同・校門・外
帰る生徒たち。
穂波に挨拶をして別れる杏奈と夏生。
〇通り(夜)
商店街が駅まで並ぶ。
杏奈と雪平君が並んで歩く。
杏奈「あー疲れた」
夏生「お疲れ」
杏奈「ん? どうして一緒に歩いているの?」
夏生「今さら?」
杏奈「そっか、同じ電車通学だっけ(手を打つ)」
雪平がちらっと杏奈を見る。
杏奈「けど、驚いた」
夏生「?」
杏奈「不良っぽいからいい加減にやってるかと思ったら、結構、かっこいいじゃん」
夏生「!!」
杏奈「何驚いてるの?」
夏生「いや、嫌われてるかと思ったから……」
杏奈「はっ! そうだった」
雪平が大笑いする。
夏生「おもしれぇ」
杏奈「失礼ね。もう知らない」
と早足で駅へ向かう。
夏生「ちょっと、待てって、同じ電車に乗るんだろう」
杏奈がふんとそのまま歩いて行く。
国語の授業。
教科書をぼーっとして見ている杏奈。
杏奈M「竜ちゃん。やさしいから泣き止ませるために言ったのかも……それで、高校であんな天使みたいな綾乃ちゃんと会って、あっちを本当に好きになってたら……………私はとんだ邪魔者」
チャイムがなり授業が終わる。
机に突っ伏して窓側に顔を向ける杏奈。
隣の席の夏生が不思議そうに見ている。
杏奈M「イヤでも、一緒に帰っているし、今日の朝だって寝坊して遅刻寸前まで待っててくれたし、大丈夫………」
杏奈のスマホが鳴って手にとる。
文面「悪い。部活が始まったから今日から一緒に帰れない」
机に突っ伏す杏奈。
夏生が隣に立つ。
夏生「悪かったよ」
杏奈が顔を上げて夏生を見る。
夏生「あーその……なんだ」
頭をかきながら上を見る夏生。
夏生「杏奈さえよければ…あー他の奴も言ってるからだけど、部活のマネージャーやらねぇか?」
杏奈「?」
夏生「オレ、バスケやってるけど、なんか、部員が多くてマネージャーやってくれるやつ探してくれって先輩の女子マネに頼まれてて、って言ってもイヤなら……」
杏奈「やる!」
夏生が驚いて杏奈を見る。
杏奈M「何もしないのはきっとダメだ。少しでもできることを増やして、竜ちゃんが私のことを恥ずかしくなく恋人ですって言えるようにしたい」
杏奈が夏生の手を取って、
杏奈「私、頑張る」
杏奈M「部活っていう理由があれば竜ちゃんと同じ電車に乗れる」
夏生の頬が少し赤くなる。
夏生「そうか、じゃあ、頼む」
T・「利害の一致」
〇同・体育館(夕)
バスケ部員が準備運動をしている。
女子マネージャーの中林穂波(17)と杏奈が向かい合っている。
穂波「中林穂波よ。よろしくね」
杏杏「花園杏奈です。よろしくお願いします」
とお辞儀をする。
穂波「早速だけど、仕事をしてもらうわよ」
杏奈「はい」
穂波が歩きながら説明する。
穂波「まず、準備運動をしている間にビブスやカラーコーンの準備、終わったら、ドリンクの用意、その間にも、練習の手伝いでポイントに立ったり、タイマーセットに、今はそれほどでもないけど、暑くなると汗で床が濡れるからモップで拭いて、試合ではスコアを………」
杏奈の目が回っている。
穂波「ちょっと、大丈夫? 何も今日一日で全部覚える必要ないから」
杏奈「はい。一生懸命、頑張ります!」
と敬礼する。
穂波がクスッと笑う。
× × ×
部員たちが色違いのビブスをつけて試合をしている。
杏奈と穂波がドリンクを持って来る。
杏奈「一年生も一緒ですか?」
穂波「交流のためにね」
夏生が先輩選手の間をすり抜けてゴールを決める。
杏奈「へぇ、カッコいいじゃん」
× × ×
笛が鳴り、「お疲れさまでした」と選手たちの声が体育館に響く。
〇同・校門・外
帰る生徒たち。
穂波に挨拶をして別れる杏奈と夏生。
〇通り(夜)
商店街が駅まで並ぶ。
杏奈と雪平君が並んで歩く。
杏奈「あー疲れた」
夏生「お疲れ」
杏奈「ん? どうして一緒に歩いているの?」
夏生「今さら?」
杏奈「そっか、同じ電車通学だっけ(手を打つ)」
雪平がちらっと杏奈を見る。
杏奈「けど、驚いた」
夏生「?」
杏奈「不良っぽいからいい加減にやってるかと思ったら、結構、かっこいいじゃん」
夏生「!!」
杏奈「何驚いてるの?」
夏生「いや、嫌われてるかと思ったから……」
杏奈「はっ! そうだった」
雪平が大笑いする。
夏生「おもしれぇ」
杏奈「失礼ね。もう知らない」
と早足で駅へ向かう。
夏生「ちょっと、待てって、同じ電車に乗るんだろう」
杏奈がふんとそのまま歩いて行く。

