〇電車・車内(朝)
伏見と下を向いた杏奈が並んで立っている。
制服を着た生徒たちがいる。
伏見「どうした? 熱でもあるのか?」
杏奈が激しく首を振る。
伏見「学校で何かあったのか?」
× × ×
(フラッシュ)
夏生がニヤッと笑う。
× × ×
杏奈の頬が赤くなる。
伏見が眉を寄せて杏奈を見る。
杏奈「何も無いよ。それより………」
杏奈M「昨日、一緒だった子、誰? 何て聞けない。聞いたら同じ時間帯の電車に乗ってたわかっちゃう」
綾乃、来る。
綾乃「おはよう。竜くん」
伏見が綾乃の方を向く。
伏見「おはよう。同じ電車だったんだ」
綾乃「そうみたいね」
と顔の周りにバラが舞うような笑顔。
杏奈「昨日の!」
伏見と綾乃が杏奈を見る。
杏奈が自分の口を抑える。
伏見「昨日?」
杏奈「き…き……今日は始めて会う方ね」
伏見「ああ、紹介するよ」
と綾乃のほうを向いて、
伏見「同じクラスの胡桃沢綾乃ちゃん」
杏奈「(小声)…ちゃん……」
伏見「こっちが………」
と杏奈を見ていたずらっぽく笑う。
杏奈M「恋人ですって紹介するの? ちょっと待って、心の準備が、っていうか周りに同じ高校の人たちいるのに、恥ずかしいことはやめて……」
伏見「同じ中学で……世界に一人しかいない幼なじみの花園杏奈」
杏奈の目が点になる。
綾乃「世界で一人?」
杏奈「何、その紹介?」
伏見「いいじゃん」
と楽しそうに笑いかける。
杏奈M「友だちとか幼なじみとかじゃないの? って言うか恋人として紹介して欲しかったような……でも改めていわれると恥ずかしいような……難しい」
綾乃「よろしくね」
と杏奈に笑いかける。
また、綾乃の周りに花が舞う。
杏奈M「まぶしい! すごいプラスのオーラ、こんな子に笑いかけられたら一発で恋に落ちそう」
杏奈「よ……よろしく」
電車が止まる。
伏見「じゃあ、行こーぜ」
杏奈が伏見の後につられて行こうとする。
その前に立ちはだかるように綾乃がいて、一礼して伏見の後を追う。
杏奈M「そうだ。私にじゃないんだ。一緒に行くのは………」
〇駅・ホーム(朝)
電車のドアが閉まる。
伏見と綾乃がホームを楽しそうにしゃべりながら歩いて行く。
〇電車・車内(朝)
動きだす車窓から伏見と綾乃を切なそうに見ている杏奈。
杏奈M「あと、三年間、毎朝、こんな気持ちで竜ちゃんを見送るのかな」
杏奈の目が潤む。
夏生、来る。
夏生「よっ! お前も同じ電車だったんだ」
杏奈「雪平君!」
と涙が引っ込む。
夏生「朝からしけた顔してるな」
と顔を杏奈に近づける。
杏奈「あ…あなたには関係ないでしょう」
夏生「さっき一緒にいた奴のことが好きなんだっけ」
杏奈「なっなんで、それを」
と顔が赤くなる。
夏生が笑う。
夏生「適当に言ったのに正解だった!」
と片手でガッツポーズ。
杏奈「だましたの?!」
夏生「杏奈だっけ……そっちが単純なだけじゃん」
杏奈「うー」
夏生「まさかとは思うけど、付き合えると思ってる?」
杏奈「?」
夏生「あの二人お似合いじゃん、あれに割って入れる顔だと思って無いよな」
と引いた表情。
杏奈「失礼ね! 私は竜ちゃんの……」
× × ×
(フラッシュ)
卒業式で大泣きしている杏奈。
呆れる伏見。
× × ×
杏奈M「泣き止ませるために仕方なく『付き合おう』って言ったのだったら?」
顔が青くなる杏奈。
夏生「おーい。どうした? まさか、本気で好きだったのかよ」
杏奈が目に涙をためて夏生を睨む。
夏生「泣くなよ。悪かったって、ちょっとからかっただけだ」
離れた所から「夏生、こっちこっち」と呼ぶ同級生たち。
夏生「おー今行く」
と手を振った後、杏奈を見る。
夏生「フラれたら慰めてやるよ」
と杏奈の肩を叩いて同級生たちの方へ行く。
杏奈M「冷静になって振り返ると告白された前と後………何一つ付き合い方が変わったことがなかった!」
ガーンとショックを受ける杏奈。
伏見と下を向いた杏奈が並んで立っている。
制服を着た生徒たちがいる。
伏見「どうした? 熱でもあるのか?」
杏奈が激しく首を振る。
伏見「学校で何かあったのか?」
× × ×
(フラッシュ)
夏生がニヤッと笑う。
× × ×
杏奈の頬が赤くなる。
伏見が眉を寄せて杏奈を見る。
杏奈「何も無いよ。それより………」
杏奈M「昨日、一緒だった子、誰? 何て聞けない。聞いたら同じ時間帯の電車に乗ってたわかっちゃう」
綾乃、来る。
綾乃「おはよう。竜くん」
伏見が綾乃の方を向く。
伏見「おはよう。同じ電車だったんだ」
綾乃「そうみたいね」
と顔の周りにバラが舞うような笑顔。
杏奈「昨日の!」
伏見と綾乃が杏奈を見る。
杏奈が自分の口を抑える。
伏見「昨日?」
杏奈「き…き……今日は始めて会う方ね」
伏見「ああ、紹介するよ」
と綾乃のほうを向いて、
伏見「同じクラスの胡桃沢綾乃ちゃん」
杏奈「(小声)…ちゃん……」
伏見「こっちが………」
と杏奈を見ていたずらっぽく笑う。
杏奈M「恋人ですって紹介するの? ちょっと待って、心の準備が、っていうか周りに同じ高校の人たちいるのに、恥ずかしいことはやめて……」
伏見「同じ中学で……世界に一人しかいない幼なじみの花園杏奈」
杏奈の目が点になる。
綾乃「世界で一人?」
杏奈「何、その紹介?」
伏見「いいじゃん」
と楽しそうに笑いかける。
杏奈M「友だちとか幼なじみとかじゃないの? って言うか恋人として紹介して欲しかったような……でも改めていわれると恥ずかしいような……難しい」
綾乃「よろしくね」
と杏奈に笑いかける。
また、綾乃の周りに花が舞う。
杏奈M「まぶしい! すごいプラスのオーラ、こんな子に笑いかけられたら一発で恋に落ちそう」
杏奈「よ……よろしく」
電車が止まる。
伏見「じゃあ、行こーぜ」
杏奈が伏見の後につられて行こうとする。
その前に立ちはだかるように綾乃がいて、一礼して伏見の後を追う。
杏奈M「そうだ。私にじゃないんだ。一緒に行くのは………」
〇駅・ホーム(朝)
電車のドアが閉まる。
伏見と綾乃がホームを楽しそうにしゃべりながら歩いて行く。
〇電車・車内(朝)
動きだす車窓から伏見と綾乃を切なそうに見ている杏奈。
杏奈M「あと、三年間、毎朝、こんな気持ちで竜ちゃんを見送るのかな」
杏奈の目が潤む。
夏生、来る。
夏生「よっ! お前も同じ電車だったんだ」
杏奈「雪平君!」
と涙が引っ込む。
夏生「朝からしけた顔してるな」
と顔を杏奈に近づける。
杏奈「あ…あなたには関係ないでしょう」
夏生「さっき一緒にいた奴のことが好きなんだっけ」
杏奈「なっなんで、それを」
と顔が赤くなる。
夏生が笑う。
夏生「適当に言ったのに正解だった!」
と片手でガッツポーズ。
杏奈「だましたの?!」
夏生「杏奈だっけ……そっちが単純なだけじゃん」
杏奈「うー」
夏生「まさかとは思うけど、付き合えると思ってる?」
杏奈「?」
夏生「あの二人お似合いじゃん、あれに割って入れる顔だと思って無いよな」
と引いた表情。
杏奈「失礼ね! 私は竜ちゃんの……」
× × ×
(フラッシュ)
卒業式で大泣きしている杏奈。
呆れる伏見。
× × ×
杏奈M「泣き止ませるために仕方なく『付き合おう』って言ったのだったら?」
顔が青くなる杏奈。
夏生「おーい。どうした? まさか、本気で好きだったのかよ」
杏奈が目に涙をためて夏生を睨む。
夏生「泣くなよ。悪かったって、ちょっとからかっただけだ」
離れた所から「夏生、こっちこっち」と呼ぶ同級生たち。
夏生「おー今行く」
と手を振った後、杏奈を見る。
夏生「フラれたら慰めてやるよ」
と杏奈の肩を叩いて同級生たちの方へ行く。
杏奈M「冷静になって振り返ると告白された前と後………何一つ付き合い方が変わったことがなかった!」
ガーンとショックを受ける杏奈。

