幼なじみは離れない      【マンガシナリオ】

〇〇×高等学校・1年3組

   授業を受けている杏奈。
   窓の外を見る。

杏奈M「竜ちゃんは今ごろなんの授業してるんだろう?」
教師B「………さん……なさん……杏奈さん」
杏奈「(ハッとして)はっはい」
   と立ち上がる。

教師B「よそ見していた罰です。ここに来てこの問題を今教えた公式を使って解いてください」
杏奈「えー!」
   クラス中に笑いがもれる。

教師B「さっ速く」
   杏奈が黒板の前に立ってチョークを持つ。

杏奈M「聞いてなかったぁ! わかんないよ。こういうとき、竜ちゃんが助けて……」

〇(回想)中学校・1年B組

   黒板を前に杏奈がチョークを握って「えーと」と呟く。
   黒板には理科の化学式。
   伏見がニヤッと笑って、

伏見「先生、オレも答えたい」
教師C「伏見君。今は花園さんの番だから次まで待ってて」

   伏見が構わず前に出る。
   杏奈が驚いて伏見を見る。
   伏見が赤いチョークと白いチョークで丸をたくさん書き、それぞれを線でつなぐ。
伏見「はい。物質はこんな感じでつながってます」

   あっちゃんとまあ君も「オレもオレも」と出て来て適当に猫や犬の絵を描き始める。
教師C「止めなさい!」
   怒鳴られてびくっとなる4人。

   4人で顔を見合わせて「ごめんなさい」と頭を下げる。
教師C「四人とも一週間居残り勉強です」
4人「はーい」
   と席に戻る。

教師C「(独り言)でも、このつながりで間違ってない」

〇(戻って)〇×高等学校・1年3組

杏奈M「あのときみたいに誰も助けてくれないよね」
夏生「先生。オレも答えたい」
   と手を振る。

   杏奈が「えっ」と振り向く。
   夏生が黒板前まで来ると杏奈に向かってニヤッと笑ってからチョークをあんなから取り上げる。

教師B「ちょっと、雪平君。それは花園さんの答えるべき質問ですよ」
   夏生がさっさと数学の問題を解いていく。
夏生「先生。合ってる?」
   歯を見せて笑う。

   杏奈がドキッとする。
杏奈M「何か、やることが竜ちゃんに似ている気がする」
教師C「正解です」
   と肩を落として認める。

夏生「やった」
教師C「もう戻っていいわ」
   二人が席に戻る。

杏奈「あ……ありがとう」
夏生「オレに惚れるなよ」
   とニヤッと笑う。

杏奈「はあ?!」
   チャイムが鳴る。

杏奈M「なんなの? この男は!?」