幼なじみは離れない      【マンガシナリオ】

〇〇×高等学校・外観(朝)
   桜が散る。
   新入生が登校して行く。
   杏奈が歩いて行く。

〇同・講堂(朝)
   壇上で校長が話している。
   新入生の中、杏奈が座って周りを見る。

杏奈M「竜ちゃんと一緒のが良かった」
   と涙ぐむ。

先生「起立」
   皆が立ち上がり、遅れて杏奈が立ち上がる。
   隣の人に続いて歩き出す。

   杏奈は他の人たちの嬉しそうな顔を見る。
杏奈M「そうだよね。いつまでも、落ち込んでいたらダメだよね。竜ちゃんがいなくても……いなくて………」
   と俯く。

   講堂を出る直前にふらふらとして、不良っぽい派手な見た目の夏生にぶつかる。
   夏生が振り向いて杏奈を睨む。
夏生「なんだ!?」
   杏奈が恐怖で硬直する。

夏生「ぶつかったのは、お前か?」
杏奈「ひっ……ごめんなさい!」
   と深々と頭を下げて講堂から飛び出していく。

〇同・1年3組
   教室に生徒たち。
   杏奈が入って来る。

   黒板に出席番号順に座るように書いてある。
   杏奈が自分の席を探す。

杏奈M「あー怖かった。まさか、あの怖い人と同じクラスじゃないよね」
   と席に着く。

   ×  ×  ×

   教師が教壇に立つ。
教師「よし、今日からよろしくな」
生徒たち「はーい」

   杏奈の隣のに夏生がいる。
夏生「おーさっきのよろしくな」
   とニヤッと笑う。
杏奈が「よ……よろしく」と苦笑いで答える。

〇花園家(夜)

〇同・杏奈の部屋(夜)
   ベッドの上で右手でぬいぐるみを抱えて、左手でスマホを持っている。
    スマホのDMの文面、「竜ちゃん。クラスメイトに怖い人がいて」消して「聞いて、大変だったんだよ。隣の席の男子が」と書いて、仰向けになる。

杏奈M「どう書いたらいいんだろう? 今までだったら毎日会って、一緒に学校に行って、ずっと同じ毎日が続くと思ってた……そんなわけないのに……」
   くるっとうつ伏せになってスマホを見る。
杏奈M「違う場所で、違う体験をしたときってどう書けばいいんだろう?」
   杏奈がベッドに突っ伏す。

   スマホが鳴る。
竜太郎から「どうだった?」
   杏奈がうーんと悩んでいるとまたスマホが鳴る。
文面「3人も同じクラスだったぞ」とクラスで男女4人で写っている写真がアップされる。
杏奈「えーいいな。ゆーなちゃんにあっちゃん。まあ君まで」
   杏奈がスマホに入力する。

   文面「聞いてよ。いきなり怖い人に目をつけられて最悪だった。私もみんなと同じ学校に行きたかった。インフルエンザにさえかからなければ」
   と止まる。
杏奈「(呟く)心配……させちゃダメだよね」
文面「うん。うまくやってるよ(元気な絵文字)」
   と送信を押す。

   杏奈が仰向けになる。
杏奈「明日の朝になったら会えるんだから」
   竜太郎からのDM

文面「お前と一緒だったら、きっと、もっと楽しかった(スクロール)なーんてな(からかう絵文字)」
   杏奈がちょっと笑う。
杏奈「私もだよ」
   と目を閉じる。