幼なじみは離れない      【マンガシナリオ】

〇花園家・外観(朝)
   住宅街の二階建ての家。
   隣に伏見家。

〇同・杏奈の部屋(朝)
   女の子らしい部屋。
   机の上にカバン。
   窓のそばの姿見の前で高校の制服姿でくるっと回る。
杏奈「(浮かない顔)いよいよ入学式か……」
   とため息をつく。
伏見の声「おーい。入学初日から遅刻する気か?」
   杏奈が「竜ちゃん」と窓の外の高校の制服を着た伏見を見て、ベッドヘッドの丸い目覚まし時計を見る。
   7時55分。
杏奈「きゃあああ!! 遅刻する!」
   と手ぶらで部屋を出て行こうとして引き返してカバンをつかんで出て行く。

〇〇〇駅・駅前(朝)
   学生や社会人と紛れて伏見と杏奈が歩いて行く。

〇電車・内(朝)
   揺れる車内に多くの新入生たち。
   伏見と杏奈が並んで立つ。
伏見「危うく遅刻するとこだった」
杏奈「ゴメン。中学のときより早かったの忘れてた」
伏見「いつまでも子供じゃないんだぞ」
杏奈「わかってるよ」
   電車が止まる。
   ドアが開き伏見と同じ制服の人が降りていく。
   伏見も「じゃあ」と言って流れにのって出ようとする。
杏奈「うん」
   と小さく手を振る。
杏奈M「一緒に降りて行けたら………」
   と振っていた手を強く握って寂しそうな顔をして見送る。
   伏見が降りる直前に急いで戻って来て、驚いている杏奈を一瞬、ハグをして耳元で、
伏見「浮気すんなよ」
   と言って急いで出て行く。
   電車のドアが閉まって動き始める。
   真っ赤な顔で窓越しの伏見を見つめる杏奈。
   姿はハッキリと見せないが「ふーん」と見ている雪平夏生(16)。