〇中学校・校門
立て看板に「第〇回卒業証書授与式」
〇同・校庭
桜が舞い散る。
卒業生たちが胸に花をつけて写真を撮ったり、後輩たちや両親と話をしたりしている。
泣きじゃくる花園 杏奈(16)。
その前で片手に卒業証書用丸筒を持ち、頭をかきながら困った顔をして伏見竜太郎(16)が杏奈をなぐさめる。
伏見「家、隣なんだから、これまで通りだって」
杏奈「だって、グスッ……卒業しちゃって……」
伏見「通学電車だって、途中まで一緒なんだから、嫌でも毎日会えるだろう」
と心底、呆れた顔をする。
杏奈M「わかってる。家は隣だし、学校に向かう方向も同じだって………でも、でも、でも、同じ学校で、同じ時間で、同じ思い出を作りたい」
伏見「お前くらいだぞ、ここまで泣いてるの」
杏奈「だって、もう同じ…学校じゃない……」
伏見が大きくため息をつく。
杏奈M「困らせたくない……本当の私の気持ちを伝えたい……けど……もっと困らせるかも……」
伏見「…だったら……さあ……」
と横を向く。
杏奈M「『いい加減にしろ』って思ってる? 当然だよね」
伏見「付き合う?」
杏奈は泣くのを止めて伏見を見上げる。
春の風が伏見の漆黒の髪を桜の花びらと一緒に、ふわっと舞い上げる。
杏奈からは伏見の顔が見えない。
杏奈「それって……どういう………」
伏見「だから……恋人として付き合わないかって言ってんだ」
と杏奈の顔をまっすぐに見る。
杏奈はまじまじと伏見の顔を呆然として見る。
伏見「で……返事は……」
弾かれたように何度もコクコクと頷く杏奈。
立て看板に「第〇回卒業証書授与式」
〇同・校庭
桜が舞い散る。
卒業生たちが胸に花をつけて写真を撮ったり、後輩たちや両親と話をしたりしている。
泣きじゃくる花園 杏奈(16)。
その前で片手に卒業証書用丸筒を持ち、頭をかきながら困った顔をして伏見竜太郎(16)が杏奈をなぐさめる。
伏見「家、隣なんだから、これまで通りだって」
杏奈「だって、グスッ……卒業しちゃって……」
伏見「通学電車だって、途中まで一緒なんだから、嫌でも毎日会えるだろう」
と心底、呆れた顔をする。
杏奈M「わかってる。家は隣だし、学校に向かう方向も同じだって………でも、でも、でも、同じ学校で、同じ時間で、同じ思い出を作りたい」
伏見「お前くらいだぞ、ここまで泣いてるの」
杏奈「だって、もう同じ…学校じゃない……」
伏見が大きくため息をつく。
杏奈M「困らせたくない……本当の私の気持ちを伝えたい……けど……もっと困らせるかも……」
伏見「…だったら……さあ……」
と横を向く。
杏奈M「『いい加減にしろ』って思ってる? 当然だよね」
伏見「付き合う?」
杏奈は泣くのを止めて伏見を見上げる。
春の風が伏見の漆黒の髪を桜の花びらと一緒に、ふわっと舞い上げる。
杏奈からは伏見の顔が見えない。
杏奈「それって……どういう………」
伏見「だから……恋人として付き合わないかって言ってんだ」
と杏奈の顔をまっすぐに見る。
杏奈はまじまじと伏見の顔を呆然として見る。
伏見「で……返事は……」
弾かれたように何度もコクコクと頷く杏奈。

