明日もきっと、晴れるはず

沖田の体から妖の力が抜けるたびに、周囲の空気が変わっていく。初めはわずかな変化だったが、次第にその力が完全に封じられ、沖田の体は軽くなったように感じられた。

しかし、その変化には代償が伴う。妖の力を失った瞬間、沖田の体は一時的に過酷な冷たいものに包まれ、力を失ったことによる虚脱感が全身を支配した。息が荒くなり、膝が震え、意識がふらつく。

土方がすぐに駆け寄り、沖田の肩を支える。

「沖田、大丈夫か?」

沖田は一瞬、目を閉じて深呼吸をした。そして、ゆっくりと目を開け、土方を見上げた。

「……はい。大丈夫です。」

その言葉は、自分を奮い立たせるためのものだったのだろう。沖田は再び足元をしっかりと踏みしめ、心の中で繰り返す。『人間として生きる』と。

近藤が温かい声をかける。

「沖田、お前が決めた道だ。辛いだろうが、お前ならきっと乗り越えられる。」

その言葉に、沖田は少し微笑みかけた。だが、心の中ではまだ確信を持てない部分があった。

「……でも、怖いです。」

その言葉を口にした沖田の表情は、無防備でありながらもどこか切実だった。

原田がその場に近づき、優しく声をかける。

「恐れることはない。どんな道だって、初めは恐怖がつきまとうものだ。だが、俺たちがついている。」

斎藤は沖田を見守りながら、再度巻物を手に取り、静かに言った。

「これで、君は完全に妖の力を失った。今は人間として、すべてを背負うことになる。ただし、その代償は大きい。」

沖田は頷きながら、しばらく黙っていた。心の中で、自分が今後どんな人生を歩んでいくのか、その重みを感じ取ろうとしているのだろう。

その時、沖田はふと、土方に向き直る。

「土方さん……僕が人間として生きるって決めたこと、認めてくれますか?」

土方はしばらく沈黙した後、沖田をじっと見つめた。そして、ゆっくりと口を開いた。

「俺はお前を信じている。妖であろうが人間であろうが、お前の選んだ道を支える。それがお前にとって一番大事なことなら、俺たちもそれを受け入れる。」

沖田はその言葉に、心の中で少しだけ安堵した。しかし、心の奥深くにまだ何かが引っかかっているような感覚もあった。

その不安を拭うように、近藤が笑顔で言った。

「お前がどんな形であれ、俺たちが共にいることに変わりはない。だから、もう迷わずに歩んでいけ。」

沖田は深く息を吸い込んでから、ゆっくりと一歩踏み出した。周囲の空気が柔らかく、温かく感じられる。

「ありがとうございます。」

その言葉を、沖田は心から言った。新選組の仲間たちが、今もこうして自分を支えてくれる。それだけで、少しずつ自分を取り戻せる気がしてきた。

沖田は、もう一度周りを見渡す。

「僕、頑張ります。どんな困難が待っていようとも、私は人間として生きます。」

その決意が、沖田の中で一層強くなった。

土方が軽く頷くと、近藤も満足げに微笑んだ。原田と斎藤は何も言わずにその場に立ち、沖田を見守り続ける。

その後、沖田は少しずつだが確実に、人間としての歩みを始める。妖の力を封じ、人間として生きるために覚悟を決めた沖田にとって、それがどれだけ重い一歩であったか、誰もが知っていた。しかし、仲間たちの支えがあれば、沖田はどんな道も歩み続けることができるのだと、確信を持ちながら。

その時、沖田はふと微笑みながら心の中で誓った。

「僕は、もう一度みんなと共に歩む――人間として、全力で。」