沖田は前へと歩みを進める。土方と斎藤がその後ろに続き、三人は池田屋の奥深くに足を踏み入れた。周囲は煙と炎で視界が悪く、危険な臭いが漂っていた。だが、沖田の瞳はひとときも迷わず、目的の場所へと向かっている。
「総司、気をつけろ。」斎藤が沖田に警戒を促す。彼の目には、冷徹さが満ちているが、それと同時に、どこか沖田に対する思いが込められているようだった。
沖田は少し頷きながら、じっと前方を見据えた。「分かってます。」
土方が口を開いた。「あの男たちは、俺たちにとっても敵だ。お前だけの問題じゃない。しっかりやれよ、沖田。」
その言葉に沖田は無言で頷き、剣を引き締めた。彼の中には、迷いが少しも残っていない。自分がどう選ぶべきか、どの道を選ぶべきか、それはもうはっきりと分かっていた。今、この瞬間に彼女が選ぶのは、自分を守ることではなく、仲間を守ることだった。
数歩進むと、突如として前方から響く鋭い足音。沖田は身を低くし、瞬時に反応してその場から飛び出す。その音の正体は、池田屋内に隠れていた敵の手先だった。
「来たな。」土方が低く呟く。
斎藤も冷静に構えた。沖田もまた、相手の動きを見逃さない。
「お前たち、俺たちをどうするつもりだ!」土方が一歩前に出て、剣を抜き放った。
だが、敵は数で圧倒的に優っていた。すぐに周囲から数十人が現れ、三人を囲み込もうとする。沖田はその中で、自分ができる限りの戦いをしようと決意する。
「土方さん、斎藤さん、私が先に行きます!」沖田は駆け出しながら叫んだ。
そのまま、沖田は敵の中へと飛び込み、剣を軽やかに振るい始めた。まるで空気を裂くようなその動きは、まさに沖田の剣の冴えを証明していた。剣を交えた瞬間、すぐに数人の敵が倒れ、まるでその美しい技に魅了されるように、周囲の敵は一瞬、動きが止まる。
「さすがだな、総司。」斎藤が後ろから冷静に見守る。
土方もすぐに沖田に続くように戦いに加わり、さらに二人が周囲を抑える。その間に沖田は素早く前進し、敵の指導者と思しき人物を目指していった。
「貴様らが俺をどうするつもりか、しっかり見せてもらうぞ。」沖田は冷徹な表情で言い放ち、その視線は完全に敵の指導者に集中していた。
彼女の剣が一閃するたびに、周囲の敵は次々と倒れていく。しかし、沖田もその戦いの中で気づいていた。これだけでは、全てを解決することはできない。
「早く、終わらせる必要がある……。」沖田は心の中で呟き、剣を振り下ろした。
その瞬間、背後から突如として新たな攻撃の気配を感じ取った。沖田は反射的に身をひねり、剣を横に振る。刃が硬い金属に触れ、激しい音を立てる。その刃の先に現れたのは、またもや新たな敵の指導者だった。
「今度はお前か。」沖田は冷ややかな目でその男を見据えた。
その男は、どこか不敵な笑みを浮かべて言った。「お前が新選組の妖狐か。思っていた以上に、面倒な相手だな。」
沖田の心にひときわ強い警戒心が芽生えた。その男の言葉からは、ただの裏社会の者ではない何かを感じ取ったからだ。
「面倒かどうか、試してみればいい。」沖田はその男に向かって歩み寄りながら冷たく言い放った。
そして、二人の間に激しい戦いが繰り広げられる。剣が交わり、火花が散るその中で、沖田はもう一度、決意を固める。
(私の選ぶべき道は、ここにある。)
沖田の中にあった迷いは、すでに消えていた。仲間を守り、そして自分の道を貫く。その覚悟を胸に、沖田は再び剣を握りしめ、戦い続けた。


