明日もきっと、晴れるはず


その晩、屯所の静けさが一層深まった頃、沖田はまだ剣の練習をしていた。しかし、心の中にあった迷いは少しずつ薄れていき、ただひたすらに剣を振ることで、自分と向き合い続けていた。

そんな時、屯所の入口が開き、山崎烝が静かに足音を立てて入ってきた。彼の表情にはいつもの冷徹さに加え、少しの緊張感が漂っていた。

「総司、土方副長に呼ばれている。」山崎が沖田に告げる。

沖田は一瞬、剣を止めて山崎を見つめた。「土方さんが? 何かあったんですか?」

山崎は無言で頷き、沖田の前に立つと、その声を少し落として言った。「池田屋で起こることについて、話がある。急いで来てくれ。」

沖田は剣を納め、山崎と共に急ぎ足で土方のもとに向かった。屯所内の廊下を抜け、土方が待つ部屋に入ると、すでに隊士たちが集まっていた。斎藤、原田、近藤、そして他の隊士たちもその場にいる。

土方は沖田が入るのを見て、少し顔を上げた。「お前も来たか、総司。さっさと座れ。」

沖田は土方の指示に従い、座ると、土方が重々しい口調で話し始めた。

「今日、山崎が持ち帰った情報だが、池田屋に幕府の命を受けた攘夷過激派が集結している。こいつら、ただの一揆勢ではない。幕府の本気の命令で動いている。」

山崎はその場で話を続けた。「奴らの計画によれば、池田屋で我々新選組を討ち取ろうとしているらしい。ターゲットは、近藤さんをはじめとした指導者たち。あの場所を占拠し、我々を一網打尽にするつもりだ。」

「どうするつもりだ、土方副長?」斎藤が無表情で質問する。

土方は険しい表情で答える。「池田屋のことは、我々が先手を取らねばならん。だが、ただでやられるわけにはいかない。逆に、こっちから先に乗り込んで、奴らを叩く。だが、油断は禁物だ。」

沖田はその会話を黙って聞きながら、心の中で思考を巡らせた。もし池田屋の襲撃が実現すれば、新選組は一大事に直面することになる。その中で、自分が果たすべき役割は何なのか。そして、どのように立ち回るべきなのか。

土方が再び話を切り出す。「隊士たちには、各々が適切な位置で待機し、池田屋の周囲を包囲する。近藤と私は一番先に乗り込むが、その後を支える形で、沖田、お前はどうする?」

沖田はその言葉に反応し、静かに答える。「私も、もちろんお役に立ちます。できる限りの支援をします。」

「お前の剣の力は、今必要だ。」土方は沖田にしっかりと目を向け、少しだけ柔らかく語った。

その後、池田屋の作戦が決まる。各隊士には役割が与えられ、指揮が統一された。沖田はその中でも、自分の持ち場をしっかりと認識し、戦の準備を始める。しかし、その顔にはいつも以上の決意がみなぎっていた。

作戦の夜、池田屋の前で新選組の隊士たちが集まり、静かに戦いの準備を整えていた。沖田は仲間たちと共に、冷静に周囲を警戒していた。隊士たちはどこか緊張感を感じさせるが、それでも、仲間を信じ、次の指令を待っている。

「いよいよだな。」沖田は心の中でつぶやきながら、剣の鞘を少しだけ握りしめた。

その夜、新選組の運命を決する戦いが、池田屋で繰り広げられる。