明日もきっと、晴れるはず


沖田が次々と妖を倒しながら進んでいく中、突然、戦いの空気が変わった。沖田の体に漠然とした不安が広がり、目の前の敵が異様に静かになったことに気づく。

「……何か、変だ。」

沖田は一瞬、足を止める。その瞬間、周囲の空気が冷たくなるのを感じた。普段の戦いでは感じることのない、重苦しい気配――それが沖田を包み込んでいった。

「誰だ。」

沖田は剣を構え、周囲を警戒しながら問いかけた。だが返事はない。ただ、冷たい風が吹き抜けるだけだった。その瞬間、背後からひときわ強い妖気が近づいてきた。

振り返ると、そこに立っていたのは――沖田と同じような妖、しかもその妖は沖田に非常に似た姿をしていた。

「……お前、誰だ?」

沖田の声は冷徹だが、心の中で一瞬、違和感が募る。その妖もまた、沖田のように狐耳と尻尾を持っており、目の色も同じく金色だ。しかし、その顔には明らかに冷徹で無感情な表情が浮かんでいる。

「私は、あなたの『過去』の一部だ。」

その妖は静かに言った。沖田は一歩後退り、剣をしっかりと握り直す。

「過去、の一部?」

その言葉の意味が理解できないまま、沖田は警戒を強めた。その妖が何かを意味しているのは明白だった。

「あなたが生まれる前、この世界にはもうひとつの命があった。そして、その命は私だ。あなたが生まれるために、私は消された。」

沖田の体が硬直する。自分の記憶にはないが、この妖の言葉には何か引っかかるものがあった。

「それは……」

沖田は言葉を詰まらせながらも、相手に向かって慎重に一歩を踏み出した。

「お前が私に似ているのは、どういうことだ?」

「私の名は——霧狐。あなたの『影』だ。」

霧狐がその名を告げた瞬間、沖田の体にかすかな衝撃が走る。その名は、記憶のどこかで聞いたような気がした。しかし、記憶にあるその霧狐の存在が、思い出せない。自分の過去に、封じ込められた何かがあるような感覚に襲われる。

「お前は……私の中の何かを取り戻そうとしているのか?」

沖田の問いに、霧狐は淡々と答える。

「そうだ。あなたの中には封印された過去の力がある。その力を解放し、私のように、真の力を得てほしいのだ。」

沖田はその言葉に耳を傾けながら、剣を構えた。

「私は、そんなことを望んでいない。」

沖田の言葉に、霧狐の目が一瞬、鋭く光る。

「あなたが望まなくても、もう遅い。あなたの中には私の力が眠っている。それを目覚めさせることこそが、あなたに与えられた運命だ。」

沖田はその言葉を聞き、胸の奥でかすかな痛みを感じた。確かに、自分には何かが足りないような気がしていた。妖としての力は強くなり、しかし、どこか不安定で、それが自分に何かを求めているかのように感じることがあった。

「私が望むのは、仲間たちを守ることだけだ。それ以上の力を、私は望まない。」

沖田の言葉には揺るぎない決意が込められていた。それを聞いた霧狐は、静かに鼻で笑った。

「あなたがどれだけ抵抗しようと、運命は変わらない。さあ、来なさい。」

その瞬間、霧狐の周囲に妖気が渦巻き、周囲の空間が歪み始めた。沖田はその気配に、身を引き締める。

「――来るなら、来い。」

沖田は冷徹な目で霧狐を見据え、剣をしっかりと握り直す。戦いはすぐに始まった。