明日もきっと、晴れるはず

ギィンッ!!

「――ッ!」

原田左之助の刃が沖田総司を斬り裂く――そう思った瞬間、鋭い金属音が響き渡った。

沖田は小太刀を交差させ、原田の一撃を受け止めていた。

「おっと……左之さん、本気ですね。」

沖田の声は軽やかだったが、その表情はどこか寂しげだった。

「当然だ。」

原田は唸るように言う。

「俺は新選組の隊士だ。隊の中に“妖”が紛れ込んでるなら、迷わず斬るのが筋ってもんだろ。」

「――左之さんは、僕が妖だと思うんですか?」

「……それを確かめるために、斬るんだよ。」

原田の瞳は揺れていた。

迷いながら、それでも隊士としての信念を貫こうとしている。

「なら……僕も、斬られないようにしないとですね。」

沖田は静かに構えを取る。

だが、その時――

「――何をやっている。」

低く冷たい声が響いた。

二人が振り向くと、そこには斎藤一が立っていた。

彼は腰に手を当てたまま、氷のような眼差しで原田を睨んでいた。

「……斎藤?」

原田が険しい表情を向ける。

「何の用だよ。」

「その剣、納めろ。」

斎藤は静かに言い放った。

「――今ここで総司を斬ったところで、何も解決しない。」

「は?」

「確かに、総司の身には“異変”が起きた。だが、それが即座に新選組に害をなすとは限らない。」

斎藤は沖田を見つめる。

「……総司。」

「はい。」

「お前は、自分が“妖”だと認めるのか?」

沖田は一瞬だけ考え、ゆっくりと頷いた。

「……僕は、大狐の呪いを受けました。今の僕は……人間ではないかもしれません。」

その言葉に、原田は奥歯を噛みしめる。

だが、沖田は続けた。

「けれど……それでも僕は、新選組の一員です。」

「……何?」

「僕は、まだ皆と一緒にいたい。」

静かな声だった。

しかし、その言葉に込められた想いは確かだった。

斎藤は目を細めると、ふっとため息をついた。

「ならば、証明してみせろ。」

「え?」

「これからも“新選組の剣”であり続けるというのなら――お前自身の行動で、それを示せ。」

沖田は驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑みを見せた。

「……はい。」

その瞬間、原田は大きく息を吐き、ガリガリと頭を掻いた。

「ったく……お前がそう言うなら、俺がどうこう言う筋じゃねぇな。」

彼は刀を鞘に戻し、肩をすくめる。

「斬るのはまた今度にしてやるよ。もし本当に化け物になったら、そん時は遠慮なく斬るぜ?」

沖田は苦笑した。

「ええ。その時は、お願いしますね。」

原田が不機嫌そうに鼻を鳴らし、斎藤は沈黙のまま立ち去る。

そして沖田は、そっと自分の手を見つめた。

――自分は、本当に“まだ”人間なのだろうか。

その問いの答えは、まだ見えなかった。