沖田総司の意識が薄れそうになる中、異常な力が彼女の体内で暴れ始めた。
妖狐としての力、そして未知の力が交錯し、総司の心を引き裂こうとしていた。
彼女は必死にその力を抑えようとしたが、意識の奥底で何かが次第に目を覚まし始めているのを感じていた。
その時、遠くから聞こえる足音が耳に届いた。
徐々に、確実に近づいてくる音。
その音が現実に引き戻すように、総司は力を込めて意識を取り戻す。
「――誰だ?」
総司はふらつきながらも、顔を上げる。その時、暗闇の中に浮かび上がる一筋の光が見えた。
その光の先には、土方歳三、斎藤一、そして他の仲間たちが立っていた。
「沖田!」
土方歳三の声が響いた。
彼の表情は硬く、ただならぬ決意を感じさせた。
「土方……さん……」
総司は息を呑む。
その顔を見て、彼女は自分が一人ではないことを感じ、少しだけ安堵の表情を浮かべた。
「安心しろ。お前を助けに来た。」
土方は冷徹な声で言ったが、その眼差しには、確かな優しさが含まれていた。
「お前がどうなろうと、俺たちが許さねぇ。」
斎藤一が無言で言った。彼の目には強い決意と覚悟が宿っていた。
総司はその言葉を聞き、再び力を振り絞った。
しかし、その力の暴走を感じながら、どうにか自分をコントロールしようと必死になっている自分に気づく。
「……どうしてここまで……」
総司は口にしたが、その言葉の意味が彼女の中でもはっきりとはわからなかった。
自分の力を暴走させることで、彼女が何をしているのか――その事実を突きつけられたような感覚に囚われていた。
「お前の力を引き出そうとする者がいる。」
土方は冷徹に言い放つと、目の前に現れた黒衣の男を一瞥した。
「お前がやっていることは、俺たちの仲間に手を出したということだ。お前も覚悟しておけ。」
土方が言うと、斎藤が剣を抜き、無言で構える。
その姿勢は、どこか鋭く、戦闘の気配を放っていた。
「ふふ、やはり貴女たちか。」
黒衣の男は冷笑を浮かべ、総司に視線を向けた。
「だが、貴女が目覚めたところで、もう遅い。貴女の力は完全に覚醒し、私のものとなるのだから。」
男は手をかざし、暗闇から更に数人の影が現れた。
その目には、恐ろしい力が宿っているのが感じられた。
「だが、貴女が助けに来ても、私の力には到底及ばない。」
黒衣の男は、自信に満ちた口調で言った。
「そんなことはねぇ。」
土方の言葉が響くと、すぐにその場に風が吹き荒れた。
「これ以上、お前の好きにはさせねぇ!」
土方は一気に間合いを詰め、剣を振るう。
その刃は、黒衣の男が操る影の一体を真っ二つに引き裂いた。
土方の剣さばきは、冷徹でありながらも、確かな意志を感じさせるものだった。
「行くぞ、沖田!」
土方は叫び、総司に視線を向けた。
総司はその言葉に微かにうなずくと、自分の中の力を抑え込むことに集中した。
その瞬間、体内で渦巻く妖狐の力が少しだけ静まった。
「助けてくれた……のは……私を守るため?」
土方は力強く答える。
「お前がいなきゃ、俺たちの戦いは終わらない。」
その言葉に総司は強く頷くと、自分の手に気を集中させた。
「行くぞ、土方さん!」
総司の周囲に風が巻き起こり、その力を感じた黒衣の男は一瞬だけ驚いたように目を見開いた。
「なに……?」
黒衣の男が言う間もなく、総司は全力でその力を解放し、妖狐の力が大きな閃光となって炸裂した。
その瞬間、周囲の影の一部が切り裂かれ、男は後退を余儀なくされる。
「これが、お前に負けない力だ。」
総司の声が静かに響き、彼女は再び戦う準備を整えた。
土方たちが近づいてきたその時、総司の手のひらから妖狐の力が、まるで雷のように放たれた。
その力により、男の魔力が一時的に打破され、闇の支配が崩れ始めた。
「やれるな。」
土方が言い、斎藤がその隙間を狙って突撃する。
「全員で行くぞ!」
その言葉が合図となり、彼らは一斉に動き出した。
今、総司と新選組の仲間たちが一つになり、暗闇の中で激しく戦いを繰り広げていく――


