明日もきっと、晴れるはず


沖田総司が意識を取り戻したのは、冷たい石の床の上だった。
目を開けると、周囲は薄暗く、異様な雰囲気に包まれていた。
まるで地下の牢獄のような場所。
彼女の体は、無理に拘束されているわけではないが、完全に自由を奪われていた。

「……ここは……?」

声を発したが、響き返すだけで誰の反応も返ってこない。
彼女はゆっくりと身体を起こし、周囲を見渡した。
壁には不明な符号が刻まれ、冷気が漂っていた。

「なぜ……」

彼女の頭にはいくつもの疑問が浮かんでいた。
黒衣の男――あの男に連れ去られたのは、確かに覚えている。
そして、あの時感じた異常な力。
それが、今もなお体の中に残っているような気がしてならない。

「――あ、気づいたようだな。」

暗闇の中から、低い声が響いた。
その声に、総司は反応して顔を上げると、視線の先に立つ一人の男が見えた。
黒い衣装を身にまとったその男は、目を細めて総司を見下ろしている。
その冷徹な表情に、総司は少しだけ身を縮めた。

「貴女が……私を――?」

「そうだ。私は貴女を迎えに来た。」

黒衣の男はにやりと笑い、総司に近づいてきた。
その目には、ただの冷徹さだけでなく、どこか興味深そうな輝きが宿っている。

「貴女は、何も知らないだろう。だが、それも当然だ。貴女が生まれる前、私たちの世界で起きた出来事を。」

総司はその言葉に反応を示すことなく、黙って男を見つめた。
何も語らず、ただじっとしている。

「貴女が新選組の剣士でありながら、妖狐だという事実は、少数の者にしか知られていなかった。だが、あの時代が終わり、貴女が消えてから数年後――新たな力が芽生えた。」

「……力?」

「そう。貴女が持っていたその力――妖狐としての力を、我々は利用しようとした。」

男の言葉は続く。

「だが、貴女はあまりにも強大すぎた。扱いきれなかった。だからこそ、我々は貴女を封じ、再び生み出そうとした。」

その言葉に、総司は言葉を飲み込んだ。
自分が利用されていたこと、それが黒衣の男の目的であったことを理解し始めていた。

「だが、私が言うのはそれだけではない。」

男は不敵に笑いながら、総司の目の前に立った。
その目が、鋭く彼女を見つめている。

「貴女の力を引き出すために、今度は貴女を育て直すつもりだ。お前のような存在を完全に引き寄せるには、長い時間がかかる。」

「育て直す……?」

総司は首をかしげ、疑問の表情を浮かべた。

「そうだ。貴女が持つ妖狐としての力を完全に覚醒させ、この世界を手中に収めるためには、今までのように戦わせるわけにはいかない。」

男は一歩後ろに下がり、指を鳴らすと、暗闇の中から無数の影が現れた。
それらはまるで生き物のように動き回り、総司を取り囲んだ。

「これから貴女は、試練を受けることになる。」
男は冷たく言い放ち、総司をじっと見つめる。
「その力を覚醒させるために、最も効果的な方法を知っている者が、貴女を導くことになる。」

総司は自分の状況を理解しようと必死になったが、その中で何かがおかしいと感じ始めた。
自分が捕らえられた理由、そしてこれから待ち受ける試練。
その背後に潜む、恐ろしい何か。

そして、その時だった。
総司の身体に、微弱ではあるが異常な力が流れ込んできた。
それは、妖狐としての力、そして何か別の力も混じった感覚。

「――これは…」

その力は、彼女の身体の中で渦を巻き、次第に大きな波となり、彼女の意識を飲み込み始める。

「貴女が覚醒すれば、全てが変わる。」

男の声が、薄れゆく意識の中で響いた。

「そして、その時、私は貴女を完全に支配する。」