【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

 こうして自由に歩くことは、本来ならば、誰にだって制限されることはない。

 けれど、ウィリアムはそんな自らの不遇を、誰かのせいだと、長い時を同じくした婚約者モニカにも言ったことはなかった。

 なんともたとえようもない想いを抱えたままの私が、エレインの自室へとウィリアムを案内すると、彼女はひと目をはばからずに弟へと駆け寄った。

「ウィリアム……!」

 えっ……!

 エレイン。気持ちはわかるけれど、そんな対応を誰かに見られたら!

 私は慌てて周囲を確認したけれど、既に人払いを済ませていたようだ。広い部屋の中には私たち三人しか居なかった。

 エレインは政治的な問題で王妃である母と、弟ジョセフ側の人間であらねばならない。ウィリアムをこんな風に特別に大事に思っていると、誰にも知られてはならないのだ。

「……姉上」

 部屋に入った途端に姉から抱きつかれたウィリアムは、両手を浮かせて戸惑っている。

 私から『心配している』という話を聞いていたものの、姉エレインが自分へと、これだけの愛情を向けてくれていたと知って、とても驚いているのだろう。