【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

 王都でも有名なメゾンキャローヒルのマダムは、彼女の職務上とても褒め上手で、入ったばかりの新人をその気にさせることなどお手の物らしい。

「まあ、そう言っていただけて、本当に嬉しいですわ。ですが、私にはまだまだ技術や経験が足りません。良き先輩方のおかげで、こうしてお仕事させていただいておりますもの。これからも技術向上に向けて頑張りますわ」

 ふふふと二人で笑い合って、私は手に持っていた書き付けをしまった。

 仕事を覚える上でメモは大事だ。一度聞いたことは完全に覚えられてしまう記憶力抜群の人はさておき、どんな仕事でも、何もかもすべて最初から上手く出来る人など存在しない。

 失敗はしても良い。けれど、再度起こらないよう自分なりのやり方に落とし込むために、仕事中の覚え書きは必須だった。

 私は記憶を取り戻してから、ウィリアムの悲劇回避に向けて、王都にある有名なメゾンでお針子見習いとして働いていた。

 それは何故かというと、離宮に居るウィリアムには、婚約者である私一人しか近づけない。そういうことになっている。