【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

「俺の立太子の儀式……ああ。そういえば、以前に、父上から手紙を貰っていたな……」

 私の言葉を聞いて驚いて目を見開いたウィリアムは、父王からの手紙の内容を思い出すように腕組みをして宙に視線を向けた。

 立太子の儀式までひと月しかないというのに、ウィリアムはまるで危機感を持っていない。彼にはこれから起こる悲劇をほとんど知らないのだから、それも無理はないのだけど……。

 ウィリアムは現王陛下の長子で、生まれながらの王太子。

 王太子は王位継承の確定を意味する成人年齢になると『立太子の儀式』という式典に参加し、多くの臣下たちの前で、国家安寧のために賢政を敷くという誓いを立てるのだ。

 小説の中では、ウィリアムは式典用の儀礼服を引き裂かれていて、今ここに居るような服装で出て行くしかなかった。

 そんな彼を見て、国王はじめ王族ならび臣下たちも、王太子ウィリアムが王家や王国そのものを軽んじていると思い込み人前で罵倒する。

 言い訳することも出来ずに離宮に戻ることしか出来なかったウィリアムの孤独感は、より加速することになってしまう。