【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

 耳元で声が聞こえた時には、ふわっと身体全体が温かな熱に包まれていて、私はウィリアムから抱きしめられているのだと知った。

 掠れた声を聞けば、どれだけ私を心配していたかを知り、自然と私の手は彼の体を抱き返していた。

「……あ、あのー!! すみません!! お取り込み中、すみませんー!!」

「おい、何だよ!」

 キャンディスの声が高い位置から聞こえて、私たちは彼女の居る扉前を見上げた。

 しまった。

「お忘れかもしれなませんが、そろそろ、ウィリアム様だけでも、離宮へと帰った方が良いと思います! モニカ様は誘拐されていたので、ウィリアム様は一人で出歩いてはいけないことになっているので!!」

「そうだ。ああ……もう……不便だな。いや、姉上には迷惑を掛ける訳にはいかない。帰るか」

 ウィリアムは舌打ちをして私から離れると、手を繋ぎ階段を上がり出した。

「ウィリアム様。助けてくださって、ありがとうございます……けど、剣は一体どこで……?」

 ウィリアムは離宮に閉じ込められていて、その上自害も出来ぬように刃物から遠ざけられている……はずだった。