――――『くううう』という可愛らしい音が、その場に鳴り響いた。
「もうやだ……おなか、すいた。パンケーキたべたい」
うるうると目に涙を溜めたツインテールの可愛らしい女の子がそうこぼして、夫婦ははああっと大きなため息をついた。
「キッテン。悪かった……いいや、今日も問題のない依頼ならば、受けようと思っていたのに……」
「そうだよ。あんた。食うに困るなんて、本末転倒だ。もう仕事を選ぶのは、止めよう……」
えっと……どういう事なのかしら。
さっぱり訳がわからないのだけど?
私は隣に居るウィリアムと目配せをしながら、どうするべきかと戸惑った。
「そうだよ。仕事を選びすぎて金に困る暗殺者なんて、俺らくらいだよ。王族の護衛、良いじゃん。それに、生まれる順番を間違えて、幽閉されて可哀想だと噂の王太子様の味方になれるなら、俺はその方が良いと思う」
「フランツ……」
わ。
若い男二人、その片方……やっぱり、小説の中ではウィリアムの片腕として活躍する、フランツだったんだ!



