【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

 ウィリアムはとりあえずで結んだ私のハンカチに滲む血を見て、そう言った。

 そして、私はさっき起こった事の重大さに、不覚にもこの時に自覚したのだ。

 ……王太子ウィリアムに、もしもの事があれば、ここに居る全員処刑。ラザルス伯爵家は断絶ね。

 そうならなくて、神に感謝だわ。

「ありがとうございます。ですが……こんなこと、もう二度と、しないでくださいね」

「……どうしてだ。自分の婚約者を、守らない男など居ない」

 ウィリアムは当然のことをしただけだろうと、不思議そうに私に言った。

 それはそうかもしれないけれど、一貴族令嬢の命と王太子の命ならば、どちらを優先すべきか、冷静に見極めればすぐにわかることだ。

 いくら虐げられていようが王太子ウィリアムの背中には、あまりにも多くのものが背負われているのだから。

「ですが、ウィリアム様は王太子なのです。代わりの利かない存在なのですよ」

「いや……それは、そうでもないだろう」

 彼の次に継承権の高い弟のジョセフ王子のことを考えたのか、ウィリアムは苦笑していた。

 そして、私も何も言えなくなった。