超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「だから、俺を呼び出したんだろ。テラスも気をつけねーと、色男と2人で図書館に入るの目撃とかされてみ?すっげー面倒なことになると思うぜ」

「気をつける…」

顔を引きつらせ、テラスは忠告に素直に頷いた。

「で、本当に嫌がらせ受けてんのか?」

「ここ数日だけなんだけどね。ちょっとだけ」

「こえ~な~、女って。超陰険」

げんなりするシン。
ユキにされた仕打ちも思い出す。

「女で一括りしないでよ」

「ああ、テラスは変わり者だから違うけどな~」

「変わり者じゃないってば」

「あの色男は知ってんのか?嫌がらせのこと」

「知らないよ」

「げ!まじ?なんで?」

驚くシン。

「言ってないから」

「は?なんで言わねーの?」

「言う程のことされたわけじゃないし、知ったら自分責めちゃうんじゃないかなって思って」

「は~、好きな男を悲しませたくないと」

「う~ん、そうかな」

「ばっかじゃねーの?」

「何が?」

テラスは憮然としてシンを睨んだ。

「テラスがやってること、逆だぜ。秘密にされたほうが、あの色男凹むんじゃねーの?」

「え!どうして?」

「どうしてって…マジわかんねーの?」

「わかんない」

「はぁ」

思わずため息をついてしまうシン。

「テラスがあの色男のことを思いやって隠したとしても、当人は頼ってもらえなかった、自分の力不足で信頼してもらえなかったって思うんじゃねーの?」

「ええ~!?」

「本気でわかんなかったのかよ」

呆れるシン。
恋愛のわからないシンだが、同性だからか、こういう気持ちの予測くらいはつく。
あるいは、プライドを傷つけられることに敏感だからだろうか。

「言った方がいいと思うぜ。俺は」

「そ、そっか…」

落ち込むテラス。
シンにさえわかることが、自分にはわからないのかと。
こんなに好きなのに、アンセムの気持ちを理解できていないことを。
打ちひしがれているテラスを放っておくシン。
2人でてくてく歩いているうちに、寮に辿りついた。

「テラス、夕飯は?」

「ああ、食べないと。今日はアイリいないし、このまま行っちゃおうかな」

「俺も」

そして二人はそのまま食堂へ向かった。