超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「と、とりあえず、細胞的生命の本質的理解をこれから勉強するところよ」

「はぁ~!?」

「なによっ!」

「馬鹿女、全く理解してねーだろ」

「なんでよ」

「選んだ本見ればわかるぜ」

シンはナミルが持ってきた本を指差した。

「タイトルはそれっぽいけど、全然違う分野だぜ。そもそも一般やってるヤツが読んで理解できる本じゃねーよ」

「え!?そうなの!?」

「マジ馬鹿だな」

(ムカツク!!!)

もう無視して離れよう、そう決意する。

「教えてやるから、とりあえず座れよ」

意外な申し出にギョッとするナミル。
先日の食堂でのときといい、一体何を考えているのか。

「いいわよ。別に…」

一応断ったが、本気でこの生命原理には躓いているので、教えてもらえるものなら本当は教えてもらいたい。

「あっそ」

シンはあっさり引き下がる。
声をかけたのは、今回もただの気まぐれだった。
本を手に取り、再び集中し始めた。

「核様体の複製の機構と周期による制御」

ボソッと呟くナミル。

「ああん?」

「だから、核様体の複製の機構と周期による制御から教えて」

「は?断ったんじゃねーの?」

「今本気でわけわからない状態なのよ。藁にも縋りたい心境なの」

「俺、藁じゃねーし」

「シンみたいに優秀な人に教えてもらえれば、私でも理解できるかも」

血を吐く思いでシンを持ち上げてみる。

「俺、スパルタだぜ」

「いいわよ。元々性格悪いの知ってるから」

「ビシバシ行くけど、泣くんじゃねーぞ」

「泣かないわよっ!」

「んじゃ、まず教科書開いてみ」

そして、シンの地獄のシゴキが始まるのであった。