超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「ありがとう」

そんなアンセムには気付かず、テラスは両手をアンセムから離してお礼を言った。
はにかんだ笑顔がまた可愛いのである。

「もう終わりか?」

つい本音が出てしまうアンセム。
とはいえ、このままずっとテラスに触れられていたら、いつか理性の糸が切れてしまうだろう。

ぐー。
そこへ、雰囲気をぶっ壊す擬音。テラスの腹の虫が鳴いたのだ。

「お腹すいたね…」

朝食を食べてないのだから当然である。

「朝ご飯食べに行こうか」

テラスが提案した。
アンセムもこのままずっとテラスと一緒にいたかった。
しかし、そうはできない理由がある。

「またテラスに迷惑をかけると悪いから、別々にしよう」

「そっか…」

残念に思うテラス。
しかし、アンセムの気遣いであり、実際に以前受けた嫌がらせは相当ストレスだったので仕方ない。

「じゃ、私帰るね」

ぴょこんとソファから立ち上がった。
反射的にその手を掴むアンセム。

「ん?」

テラスは振り向いた。

「食べたらまたオレの部屋に来ないか?」

「えっ!?」

「いや、変な意味じゃないよ。だけど、嫌ならいいんだ」

「でも、アンセム寝不足なんでしょう?」

「そんなの構わないよ」

「でも、今日はやめとく」

アッサリ断られてアンセムは凹む。
また、部屋を拒否される日々が続くのか。

「ベッド占領してごめんね。またね」

テラスがそう言うと、アンセムは手を掴んだまま立ち上がった。
ドアまで見送る。
明日会えるか聞きたかったが、また無理に部屋へ誘ってしまいそうで、アンセムは言葉を飲み込んだ。
だけど…。

「テラス」

ドアを開ける前にテラスの名を呼び、振り向いてアンセムを見上げたテラスに触れるだけのキスをした。

優しく自分のペースに合わせてくれるアンセム。
その気持ちに応えたい。
テラスはそう思う。