超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「では、どうぞ」

アンセムに言われてもしばらく動けないテラス。

(どうぞって言われても…)

アンセムもそれ以上は何も言わずテラスを待った。

(え~い!)

思い切ってテラスが手を伸ばす。
顔を見ながらだと恥ずかしいので、目を閉じた。
頭を触るつもりだったけど、手が届いたのはアンセムの胸。
思っていた感触と違い、手を引っ込めて目を開ける。
アンセムは優しい眼差しでテラスを見守っていた。
今度はきちんと目を開けて、アンセムの髪に触れる。
サラサラとした髪は、撫でると気持ちよい。
恐る恐る手を動かすテラス。

「左手も」

そう言ってアンセムはテラスの前に手を差し出した。
テラスは左手をアンセムの右手に乗せる。
アンセムは自分の指をテラスの指に絡ませた。
テラスの動悸は一層激しくなるが、イヤではないと思った。
それに、ゆっくりだからか、今日は恐くない。

アンセムはテラスのペースに任せている。
テラスはアンセムの肩に、そしてそのまま腕に触れてみた。
心臓は相変わらずドキドキしているけど、アンセムに触れると、なんだか心がほっこりするような気がした。
テラスはアンセムをじっと見つめた。
その視線をアンセムは優しく受け止める。

「私、アンセムが好きなんだな…」

自分の気持ちを改めて確認するテラス。
無意識に呟いていた。
テラスの言葉に、アンセムは思わず赤面し、体が熱くなった。
もう、これは本能なのか。
それを必死に理性で押さえ込む。