テラスが戸惑っていることをアンセムはわかっていた。
しかし、嫌悪や拒否の意志が見られないと判断し、再び顔をテラスに近づける。
自分の手をテラスの手に絡ませ、両手をしっかりと握り締めた。

「えっ!?・・・と、待って」

慌てたテラスが制止をかけたが、アンセムは構わず唇を押し付けた。

「・・・んんっ」

そして自分の舌をテラスに差し込む。
テラスの舌を優しく撫でた。テラスの反応を見ながら、舌を動かす。
本気で嫌がっている素振りが少しでもあれば、すぐに止めるつもりだった。

(な、なにこれ!?!?)

テラスは体を硬直させ、アンセムの舌に翻弄されるしかない。
自分の口内に広がる未経験の感覚に着いていけず、逃げずにいるのが精一杯。
…だったのだが。

「ふが!」

耐え切れずテラスは変な声を出して顔を背けてしまった。
ハッとするアンセム。夢中になりすぎて、嫌がっているテラスに気付けなかったのかと思ったが…。

「これ、いつ息するのー!?」

ハァハァと息を切らせ、涙目で訴えるテラスに安堵した。
拒否ではないようだ。

「鼻ですればいいんだよ」

テラスの姿に思わずクスッと笑ってしまうアンセム。

「鼻?絶対ヤダ!フガフガするから」

「じゃぁ、オレが言った時に息継ぎすればいい」

「はい?」

テラスに考える暇を与えず、アンセムは再びキスをした。
すぐに舌を滑り込ませる。
今度は右手をテラスの後頭部に、左手を腰に持っていき、テラスが逃げないように、しっかりと抱き締めた。