超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「アンセムも気を付けてね。なんだか恐い顔してるけど」

アイリに指摘されてアンセムはハッとする。

「テラスはテラスなりにアンセムに応えようと頑張っているのよ。
好きな相手でも、最初は恐いものよ。
応えたい気持ちと恐怖心がせめぎ合ってるんだろうな。
男の人には、あまり理解できないかもしれないけど」

「アイリもそうだったのか?」

ライキスがたまらず質問した。
ライキスはアイリの初めての男性である。そして、結婚の約束をしているのだから、唯一無二の存在だ。
大切にしてきたし、無理させないように気遣ってきたつもりだが、アイリの物言いにライキスは不安になった。

「そりゃ、少しはね。でも、大好きだから乗り越えられるのよ」

「そうか…」

ライキスはアイリとの初めての夜を思い出す。
そして、より一層アイリを愛しく思った。

「そうね~、男の人にどう説明したらイメージつくかなぁ。う~ん…。
例えば、目隠しされて、口にわけのわからない物を突っ込まれたら、どう思う?」

「えっ!?」

「………」

「しかも、それが激痛を伴うものだったら?
だけど、それが愛情の証だよ、慣れれば気持ちよくなるんだよ、みんながしていることだよって言われても、最初は勇気がいると思わない?」

「随分な例えだな」

「そうかな?多分伝わりやすい例えだと思うけど」

ライキスの呟きに答えるアイリ。
アンセムは聞き入っていた。


「ね、アンセムはどう思う?
それって、相手への絶対的な信頼感と、確かな愛情と、そして、慣れるための時間が必要って思わない?」

「そんな風に考えたことは今まで一度もなかった。だけど、アイリの言う通りだ」

今までアンセムは女の子の方から求められることばかりだったため、体の関係と好意をどうしても結び付けてしまっていた。
アイリに指摘されて初めて、なぜテラスがあそこまで怯えるのか、構えるのか、少しわかった気がする。
アンセムの答えにアイリは満足気に頷いた。

「だからね、アンセムもしんどいかもしれないけど、早急にならないで、長い目で見てあげてほしいの」

アンセムは大きなため息をつく。

「ああ、オレもそう思ってる。だけど反省点だらけだ…」

「テラスはちょっと極端だもんね。アンセムも可哀想だけど、頑張って」

そしてアイリは大きなあくびをした。