超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

一方、シンは上機嫌だった。
集中授業の2日間、強く言い聞かせたからか、ユキが近づいてこなかったからだ。
ユキのいない2日間、非常に快適だった。
そして、今日もなぜかユキは現れない。
静かな1日を送れて心穏やだ。
このまま早めに夕食を食べて部屋に引っ込んでしまおうと思い、食堂に来た。

そこでバッタリとナミルに出会う。
シンは、ナミルに対して特に特別な感情はない。
途中から生物学を専攻したのが珍しく、また学年も同じなので、何度か言葉を交わしたことはあるが、単なる知り合い程度の存在だった。
一度、談話会で同席し、グチグチと小言を言われたのは不愉快だったが、だからと言って嫌うほどの関心もない。
しかし、今日はとても気分が良かったので「よ」と、短く挨拶をした。
単なる気まぐれだった。

ナミルは面食らった。
まさかシンから挨拶してくるとは予想外だった。

「今日はユキがいないのね」

あまりにビックリして、話題を振ってしまった。
本当は会話したくないくらい嫌いな男なのに、挨拶に対して会話で応えてしまう八方美人な自分をナミルは呪った。

「ああ~、ついに諦めたんじゃねーの」

「おめーに関係ねーだろ」とか言われるかと思ったら、これまた想定外に質問の答えが返ってきて、ナミルは更に驚く。

「そう…良かったわね」

「ああ、すっげー快適!」

シンはニカっと笑った。
またまたナミルは驚く。この男の笑顔を初めて見たような気がする。
いつも捻くれた意地の悪い顔ばかりの印象だったから。

「なんだ…普通に会話できるんじゃない」

ナミルはボソリと呟いた。

「は?」

「いえいえ、何でもないわよ」

トレイに食事を乗せて、ナミルは適当なテーブルを探す。