超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「もう起きようよ」

ドキドキして落ち着かないので、テラスはここから脱出したかった。

「もう少しだけ、このままで」

そう言って、アンセムはテラスのぬくもりに浸る。
そのまま何も話さず、しばらくくっついていた。

「なんか、こういうのが幸せって言うのかな」

ポツリとテラスが呟く。

「そうだよ」

アンセムはそう答えた。
心が満たされている。
こんなに幸せなことがあるだろうか。

「なんか未だに不思議」

「何がだ?」

「1年前は顔も知らなかったのに、今こうしてることが」

「そうだな…」

正確には、アンセムはテラスの存在を随分前から認識していたのだが。
今までのことを思い返す。
ここまで来れたことが奇跡のように思う。

「1人じゃ、こんな気持ちずっとわからないままだったんだろうな」

「え?」

「私、アンセムを好きになるまで色々な人に助けてもらった気がする」

「そう…なのか?」

テラスは自分が知らないところで、誰に何を言われていたのだろうか。
アンセムは急にそのことが気になった。
カイから聞いた、この施設にいる大人たちのもう一つの顔を思い出す。

「うん。まずはアンセムでしょ」

「オレ?」

「そう」

テラスは体の向きを変えて、アンセムの顔を見た。

「アンセムがたくさん投げかけてくれたから、考えるようになったんだよ」

「そうなのか」

確かに、最初は与えられた役割を果たすために色々と誘導するようなことを言った。
しかし、途中から自分の感情を優先させてしまい、かなり支離滅裂な言動を繰り返したと思う。
だから、そう言われて驚いた。