超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「もう大丈夫かな?」

アンセムは本棚の隙間から向こう側の様子を伺う。
2人の姿はなく、戻ってくる様子もない。
ふぅ、とアンセムは小さくため息をついた後、振り返ってテラスを見た。
小さくなって、完全に固まっている。

「テラス」

優しく声をかけると、ビクッとテラスが大きく反応した。

「もう終わったよ」

やれやれと思いながらアンセムは伝えた。

「あ、そ、そう…」

テラスは顔を上げたが、一体どんな顔をすれば良いのかわからず途方に暮れた。

「戻ろう」

何事もなかったかのようにアンセムは本棚を動かし、荷台を押して歩き出した。
テラスもそれに続く。
アンセムは何を思っているだろうか。
テラスはアンセムの顔を見た。

「ん?どうした」

「なんでもないっ」

視線にすぐに気付いたアンセムに聞かれて、テラスは慌てて目を逸らす。

「テラス、そんなに気にしなくていいよ」

「ええ!?」

「まあ、なかなかない事だけどね。見なかったことにしよう」

「そ、そうだね…」

「これ届けたら、今日はどうしようか」

「えっと…」

口ごもるテラス。
あまりの出来事に頭が混乱して、この後アンセムと楽しく食事をする気分ではなくなっていた。

「今日は部屋に戻るね」

「ああ、わかった」

予想通りの答えに、アンセムはすんなりと頷いた。