超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

一方その頃、アンセムはテラスと一緒に蔵書室にいた。
カイから指定の本を探し出すように頼まれたのだ。
蔵書室は20畳程の広さで、光で本が劣化しないように、窓がない作りになっている。
このような蔵書室は、図書館にまだ何箇所もあるらしい。

「これで全部?」

「ああ、そうだな」

アンセムはもう一度リストをチェックして、取り忘れがないか確認した。

「オッケーだ。行こう」

「うん。そろそろお昼かな。お腹空いた~」

「カイさんに届けたら食べに行こう」

「うん」

アンセムが荷台を押し、2人は蔵書室から外に出た。
蔵書室には非常に貴重な本が保管されている。
そのため、部屋は本棚の奥に隠されたような位置にあり、普段は入り口の扉が見えないようになっているのだ。
2人は部屋の前にある本棚を移動させようとしたそのとき。

「あれ?」

テラスがアンセムを見た。

「誰かいるな」

声を潜めるアンセム。
本棚の向こうから、言い争う声が聞こえてきた。

「なんなのよ!もう!!」

「それはこっちの台詞だろ!」

当然本棚の向こう側の声の主とは、ナミルとシンである。

「なんで追いかけてくるのよ!まだ嫌味が言い足らないの?!」

「おまえが逃げるからだろ!」

「は!?意味不明!」

「意味不明はそっちだろが!」

「私のこと嫌いなんだから放っておいてよ。関わらないで!」

ナミルの叫びにシンは動揺する自分を自覚した。

「き、嫌いだなんて言ってねーだろが」

「言ったじゃない!男に媚びる女は嫌いだって、確かに聞こえたんだから。忘れたとは言わせないわよ!」

シンは絶句した。
確かにそう発言した。覚えている。
しかし、ナミルに直接は言っていない。