超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「あっ…」

辿り着いたナミルは思わず小さな声を上げる。
シンがいたのだ。
ナミルの声に振り向くシン。

ナミルは声を上げた自分を責めた。
声など発しなければ、そのまま気付かれずに引き返すこともできただろうに。

シンはナミルを一瞥しただけで、また本棚に目線を戻す。
ナミルは仕方なくこのまま本を探すことにした。
シンならば、すぐに目的の本を見つけてさっさとどこかへ行ってくれるに違いない。

一方、シンは本棚を見つめながら、内心穏やかではなかった。
先日テラスとアイリに言われた言葉が蘇る。

-嫌いな相手ならば見ないはず-
-なぜ嫌いと言うのか、思うのか-
-自分では気付いていない気持ち-

(くそっ!)

どうしようもなく気持ちが尖る。

(どうして俺がこんな馬鹿女に!)

シンはナミルを見た。
何食わぬ顔で本を物色するナミル。
しかし、手に取っている本は、またしても見当違いだった。

「だから、それじゃねーっつーの!」

いきなり声を上げたシンに、ビクリとナミルは驚いて振り向いた。

「な、なによ…」

「それは専門書だ。一般やってるヤツには理解不能だぜ。馬鹿は治らねーな!」

「うるさいわね」

カチンとくるナミル。
やっぱりシンなんて大嫌いだ。

「今は生命原理の3章位だろ?だったらこれだぜ」

下のほうから1冊の本を抜き出すシン。
ナミルは無視した。

「ほら」

無言。

「いーから読んどけ」

無言。

「わかんねーところは教えてやるから」

更に無言。

「受け取れよ」

ずいっとナミルの前に本を差し出すシン。
それでもナミルは無視を通した。

「あー、なんなんだよっ!」

ついにシンは怒鳴りだす。