超人気美男子の彼女になった平凡女は平和な交際を求めて苦悩する

「本当は言いたくない。だから説明も嫌なんだ」

「ん?シンのこと嫌いだから、話してほしくないってこと?でも、専攻が同じだし、シンとは友達みたいなものだし、無理だよ?」

「微妙に違うな」

表面的な会話だったら、こんなに気持ちが荒れなかっただろう。
問題なのは、テラスとシンの距離感なのだ。

「じゃぁ、教えてよ」

「いいよ。テラスだから仕方ない」

「なにそれ。モヤモヤするなぁ」

このやりとりで、すっかり毒気を抜かれたアンセムは苦笑する。

「さて、帰ろうか」

アンセムが促した。

「帰るの?」

不完全燃焼の会話に、テラスは不満だ。

「ああ。オレの部屋に、2人で」

「……えっ」

固まるテラス。

「部屋で続きをゆっくり話そう」

そう言われると、拒否できなくなるテラスであった。
なぜアンセムが怒って、そして悲しそうな顔をしたのか知りたかった。
すっかり萎縮してしまったテラスの頬に、アンセムは軽くキスをする。

「嘘だよ」

そして、テラスの手を握って歩き出した。

「う、嘘だよって、部屋に行かなくていいってこと?」

「その通り」

「良かった…」

「良かったって…傷つくんだけどな」

「あ、ごめん」

でも、まだそれが恐いのは本当である。

(もう少し待って)

テラスはそう思うのだった。