「でも、アンセムさんはシンが嫌いなんだから、そこ察しなさいよ」
「けっ!なんで俺があの色男に遠慮しなきゃなんねーんだよ」
「事を無駄に荒らすなって言ってんのよ」
「俺に説教すんじゃねえよ。ウゼ!」
「ウザくて結構よ。じゃ、バイバイ!」
アンセムたちから充分離れたので、もうシンに用はない。
ナミルは手を振った。
シンはしばらくナミルを睨んでいたが、大きく舌打ちをしてどこかへ行ってしまった。
「なによ。シンのバカ」
自分から追い払っておきながら、なんとなくナミルは面白くない。
イライラした気分でもう一度アンセムとテラスを見た。
本当に驚きだ。化粧や服装で女はいくらでも変わると自分でも思っていたが、ここまで変身するとは。
テラスは整えれば平均以上の見た目なのだ。
それも、結構なレベルの。
それがわかって、ナミルはなぜか安心した。
やはり、見た目は大事だと証明されたからだろうか。
少なくとも、見た目が自分と同レベルかそれ以上の相手に負けたのであれば、自分の性格が著しく劣っているということにはならないのではないか。
そんなことをナミルは考えた。
自己嫌悪続きだったが、また少し前向きになる材料を見つけることができた。
その後、驚愕で気合が吹っ飛んでしまったナミルは、適当に食事をして空腹を満たすと、自分の部屋へすぐに戻った。



